内容説明
西欧政治思想のもう一つの水脈―政治観念のパラダイムを大きく転換させ、近代への道を開いた、中世最大の“知の巨人”の思想像。
目次
第1部 人と時代(書物に殉じた“鈍牛”―トマス・アクィナスの思想世界;歴史舞台の上のトマス―中世の夏=一三世紀)
第2部 知の枠組み(『神学大全』―思想のゴシック建築;神の善性としてのこの世と人間―トマス政治思想の神学的=形而上学的基礎)
第3部 トマス政治思想の全体像(“社会的および政治的動物”としての人間―人間・社会・国家;混合政体論―最善の国制とは何か;暴君放伐論―共通善としての暴君殺害;正戦論―人間の罪としての戦争と平和;“神の統治”と“人間の統治”―「教会」と「国家」の関係構造)
著者等紹介
柴田平三郎[シバタヘイザブロウ]
1946年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。現在、獨協大学法学部教授。西欧政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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belier
3
非常に面白かった。中世のトマス・アクィナスの政治思想についていろんな角度から論じる大変立派な学術書だ。しかし専門用語をちりばめ素人には到底理解しがたいということはまったくなく、理路整然と様々な学説をわかりやすく紹介し自身の考えを述べていく。中世に限らず政治思想について目が開かれる思いだった。自分のような学問をやっているのではない、ただの読書人が知的快楽を得られる、そんな素晴らしい筆力の持ち主なのに、著者は一般書を出してない。学問とは関係のない人では、自分のような物好きしか目に触れないのはもったいない。2017/01/07