出版社内容情報
維摩経は,人間生活におけるとらわれを捨て,世俗の生活(在家)のなかに仏教の理想を実現することの意味を説いた初期大乗仏典の代表的傑作である.本書は,「空」という大乗仏教思想の核心をドラマ仕立てで説く根本経典の,正確かつ平易な現代語訳.前世紀末に見つかった20世紀仏教学史上最大の発見と称されるサンスクリット原典に依拠し,梵文と漢訳(書下し)を併記.詳細な注解を付す決定版.
内容説明
本書は、サンスクリット・テキスト影印版(大正大学綜合佛教研究所刊)を底本とする現代日本語訳と、綿密な校訂によるローマナイズしたサンスクリット原典テキスト、鳩摩羅什訳『維摩詰所説経』(漢文書き下しテキスト)を併記対照させつつ、さらに詳細な注解を施したものである。原典テキストに準拠した曖昧さを残さない正確で読みやすい訳業は、全体の半分近くを占める訳出の根拠となる綿密な注解とともに、仏典翻訳史に新たな頁を刻む画期的な達成である。
目次
仏国土の完全な浄化という序(仏国品第一)
考えも及ばない巧みなる方便(方便品第二)
声聞と菩薩に見舞い派遣を問う(弟子品第三)
声聞と菩薩に見舞い派遣を問う=続き(菩薩品第四)
病気の慰問(文殊師利問疾品第五)
“考えも及ばない”という解脱の顕現(不思議品第六)
天女(観衆生品第七)
如来の家系(仏道品第八)
不二の法門に入ること(入不二法門品第九)
化作された「菩薩による」食べ物の請来(香積仏品第十)
「尽きることと尽きないこと」という名前の法の施し(菩薩行品第十一)
“極めて楽しいところ”(妙喜)という世界の請来と“不動であるもの”(阿〓)という如来との会見(見阿〓仏品第十二)
結論と付嘱(法供養品第十三)
結論と付嘱(嘱累品第十四)
著者等紹介
植木雅俊[ウエキマサトシ]
仏教研究家(東方学院)。1951年、長崎県生まれ。九州大学大学院理学研究科修士課程修了。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。86年に東洋哲学文化賞を受賞。91年から東方学院で中村元氏の下でインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。学位請求論文「仏教におけるジェンダー平等の研究―『法華経』に至るインド仏教からの考察」でお茶の水女子大学から人文科学博士の学位を授与される(男性では初めて)。『梵漢和対照・現代語訳法華経』上・下巻(岩波書店、2008年)で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZUKI
淺野 昌規
淺野 昌規
こんな本を読んだよ