内容説明
赤道直下ボルネオ。ここに、地球温暖化の最前線がある。あいつぐ乱開発で「燃える大地」と化した泥炭湿地。火のついた火薬庫さながらに燃え広がる森林。豊かな緑と生命を育んできた「水の森」は、いまや巨大なCO2排出源へと変貌した。その知られざる実態に迫り、生態系再生の糸口をさぐる。
目次
1 くずれゆく水の森(熱帯泥炭の分布と形成;河川からのカリマンタン開拓;「水の森」と熱帯泥炭の開発1メガライス・プロジェクト;「水の森」と熱帯泥炭の開発2メガオイルパーム・プロジェクト;「水の森」の発火;不法伐採による「水の森」の荒廃と民族抗争)
2 熱い燃焼・冷たい燃焼(熱帯泥炭火災の規模と頻度;熱帯泥炭火災と地球環境問題;熱帯泥炭火災と大気汚染;熱帯泥炭の燃焼特性;熱帯泥炭火災の延焼過程;冷たい燃焼による二酸化炭素放出;おわりに)
3 レッド・エコシステム(インドネシアで生物が多様なわけ;動物の多様性喪失の現状;「水の森」植物の特徴;再生への取組み;おわりに)
4 変貌する水辺(水圏におけるスンダ陸棚の痕跡;メガライス・プロジェクト地域の水路網;インドネシアの湖の研究史;カハヤン川沿いの三日月湖;三日月湖の生態系;低湿地の生物と水域の保全;水圏の有用植物と栽培)
5 水の森をとりもどす(ダヤック族の自然とのつきあい方と農業;「水の森」のサトヤマシステム)
著者等紹介
大崎満[オオサキミツル]
1950年生まれ。北海道大学大学院農学研究院教授。専門は、植物栄養学、根圏制御学、栄養生態学
岩熊敏夫[イワクマトシオ]
1947年生まれ。北海道大学大学院地球環境科学研究院教授。専門は、陸水生態学、動物生態学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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