負債と報い―豊かさの影

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  • サイズ B6判/ページ数 240p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000246668
  • NDC分類 934
  • Cコード C0098

出版社内容情報

負債は古来、宗教や文学の重大テーマであり、人間社会のあり方そのものに深く関わる問題である。本書は、サブプライム・ローン問題を発端にリーマンショックという形で顕在化し今やきわめて現代的トピックとなった「負債」の問題をめぐり、作家、詩人、批評家、社会運動家として活躍するM.アトウッドが、皮肉とユーモアを交えつつ巨視的に論じた文明批評。

内容説明

世界的金融危機に象徴される現代的事象の奥に潜むものは何か―欲望に満ちた人間社会への警鐘。巨匠アトウッドの卓抜な文明批評。欲望や想像力、復讐心といった人間の存在そのものにかかわる問題から今日の地球環境破壊問題に至るまでを、より広くより根源的に論じる。

目次

第1章 古代の貸借均衡
第2章 負債と罪
第3章 筋書としての負債
第4章 影なる部分
第5章 清算

著者等紹介

アトウッド,マーガレット[アトウッド,マーガレット][Atwood,Margaret]
1939年生まれ。カナダを代表する作家・詩人。長編小説、短篇集、児童書、ノンフィクション、詩集、評論等、幅広い作家活動を展開。これまで、カナダ最大の文学賞であるカナダ総督文学賞(2回)、ギラー賞(1回)をはじめ、ブッカー賞、アーサー・C.クラーク賞、コモンウェルス作家賞、ハメット賞などを受賞

佐藤アヤ子[サトウアヤコ]
明治学院大学教授、日本カナダ文学会会長、日本ペンクラブ会員。専攻はカナダ文学、現代アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

19
2008年初出。 公平さの暗い反面は、 不公平さです(13頁)。 『市場の倫理 統治の倫理』 1994年の中で、 ジェイン・ジェイコブズは、 人類が物を取得する方法には、 獲得か取引の二つの方法しか ないという説を提起(51頁)。 記憶や、物語がなければ、 負債は存在しない。 負債は時間の流れの中で起こる 行動の結果として発生する(85頁)。 redeemは請け出す・救い出す の 語源 deem には判定するという意味もある。 doom運命づける に関連する(128頁)。     2014/05/26

wiki

17
有名な小説でもって負債の真実に切り込む。ウィットにもとんでいて面白い、、はずだがでもこれは、、、大量に出てくる小説それ自体を読んでいなければちんぷんかんぷんだった。やられた。2020/02/26

ケニオミ

10
文学、神話、聖書からの引用が多く、「なるほどな」と思う場面も多い半面、あまり心に残るものがなかった本でした。一つだけ強く心に残ったのは、復讐と仕返しの連鎖をどのように断ち切るかというネルソン・マンデラ氏のお話でした。彼は「復讐や仕返しに正義を求めても連鎖を断ち切ることができない。必要なのは赦しである。」と考え、刑務所から解放されたとき、自分に不当な扱いをしてきた人達を全て赦そうと自分に言い聞かせたそうです。それでは何度許せばいいのでしょうか?イエスは答えます。「七の七十倍。」マンデラ氏もイエスも偉大です!2012/07/16

Mana

7
人類の歴史の中での負債の歴史みたいな感じ。宗教とか文学作品とか動物の本能的な話とか色々な分野から解説をしていてとても面白かった。具体的な経済システムとかの話も少しあるけど、やっぱり負債の面から既存の文学作品をとらえなおしたりしている部分が一番面白かった。文章も読みやすくて翻訳も良い。2012/07/01

鳩羽

6
作為が公正であること。我々の誰もが持つ負債について、古代の神話や政治、文学においてどんなふうに描かれてきたか。また現実の歴史でどのように負債が否応なしに返されてきたかの講義録。ツケを払う、借りを返すというように、負債は返されて初めて、最初の段階から効果が得られた次の段階にいけるのだろう。債権者も債務者も、負債を抱えたときから何らかのエネルギーを持ち始めて、それがうまく均衡の取れた状態に戻らないことには、大きすぎる反動がくるようだ。水車小屋が胡散臭く見られていた理由などが面白い。2014/12/29

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