内容説明
スクープ連発の若き業界紙記者がいた! 高校中退ながら、石油化学新聞社に入社した杉田亮平は、生意気といわれようが、言いたいことを言うのが信条。その圧倒的な取材力に、大手経済紙も高級官僚も驚愕した。企業トップと堂々と渡り合い、誰よりも早く情報を掴み、ダイナミックな経済の現場に立って、亮平は日本経済の真ん中を駆け抜ける。人間ドラマを見つめてきた著者の自伝的経済小説。(解説・加藤正文)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かずぺん
8
頑張れば頑張っただけ成果の出る時代だったような気がします。評価する側もそれを理解していました。今の時代は要領の良い者だけが評価される時代のような気がします。政治家の責任は大きいですね。2024/03/22
るるぴん
6
経済小説家高杉良の自伝的小説。ほぼ実話?親の不仲が原因で兄妹で児童養護施設で幼少期を過ごす。高卒で石油化学の専門紙に入社。日経が後追いする程のスクープを連発するエース記者に。業界の大物や社長、官僚にも容赦しない筆誅ぶり。でも人柄なのか今までの関係なのか恨まれない。書きたい記事が書ける。今はなかなかこういう記者はいないだろう。大病で療養中、暇潰しに経済小説を執筆しデビュー。その後ヒット連発。丁寧な取材力で業界の奥深くまで食込む。末巻の自転車という小説と対談も良い。人生は実力次第を実現。他の作品も読みたいな。2024/04/07
りゅうのすけ
5
高杉良さんの本は何冊か読んでいましたが、これはご自身のことを書かれています。 昭和の匂いがプンプンして…とても懐かしかったです。 このパワーと好奇心・執念が面白くて臨場感のある小説を作り出したのかと思いました。2024/02/12
yuuguren
4
著者高杉良の本名は杉田亮一、主人公は杉田亮平である。本人以外の登場人物の名前は実名のようであり、説明文に自伝的経済小説とあったが、これは自伝そのものではないかと感じた。その意味では日本経済新聞の「私の履歴書」を読んでいるようだったが、退屈ではない。学歴は低いが大企業のトップや通産省のキャリア官僚たちと堂々と渡り合う様子は小気味よい。「自転車」という小説が巻末に載っているがこれだけのものを高校時代に書けたのだから筆力に自信があってしかるべきかもしれない。2024/03/10
タイガーとらじろう
2
高杉良氏の自伝的小説。氏の小説を熱心に読んだのは20年〜25年ほど前か。その頃読んだ本が紡ぎ出されたプロセスがよく理解できる。「昭和だからできた、書けた」というのは簡単だろうが、いつの世も熱い想いが物事を成就させるんだなと改めて思わせる。2024/06/12