出版社内容情報
明仁と美智子は天皇皇后となり、平成の時代が始まる。二人は昭和天皇が果たし得なかった、戦争被害国の訪問をして和解に努め、災害被災地を訪れて被災者を慰めた。高齢による体力の衰えで国民に接する活動が難しくなったとき、明仁は退位の道を選ぶ。それは、平成がつくり上げた象徴像の総仕上げだった――。決定版評伝、ついに完結。
内容説明
明仁と美智子は天皇、皇后となり、「平成」が始まった。二人は、戦争被害国と災害被災地を訪問し、昭和天皇が果たせなかった和解と被災者たちへの慰労に努めた。高齢による体力の衰えで国民に接する活動が難しくなったとき、明仁は退位の道を選ぶ。それは、自らつくり上げた象徴像の総仕上げだった―。知られざる事実を明らかにしつつ、平成の天皇・皇后の事績を描いた決定版評伝の完結編。
目次
第12章 父の残像と逆風
第13章 災害と慰霊
第14章 傷ついた人々の声を聞く
第15章 家族の苦悩
第16章 全身全霊の旅
第17章 退位への道のり
著者等紹介
井上亮[イノウエマコト]
ジャーナリスト。1961年大阪府生まれ。全国紙記者として皇室、歴史問題などの分野を担当。元宮内庁長官・富田朝彦の「富田メモ」のスクープ報道で2006年度新聞協会賞を受賞。「歴史家の目を併せ持ったジャーナリスト」として、2022年度日本記者クラブ賞を受賞。2024年4月に新聞社を退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
47
本書扉の裏に、「本書の記述はすべて筆者による取材と信頼を置ける資料に基づいており、想像、憶測に基づいたものはない。」云々と注意書きしてある。それだけに単調になりがち…の懸念が。それは読み進める都度、杞憂に終わる。空気は常に緊迫している。2025/04/24
あまね
22
下巻は、ご即位からご退位までの30年間の軌跡。途中、涙なしには読めなかった記述もありました。皇太子の時代から続けられた慰霊、鎮魂、そして国民に寄り添う姿は、ご即位されてからさらにご進化あそばします。お身体に鞭を打つようにして全国に向かわれるお姿は、すべての責をお二人で背負われているかのように鬼気迫るものがありました。当時、ニュース等で少しだけ流れる天皇皇后両陛下のご映像からは考えも及ばなかった両陛下の深い思いに、言葉もありませんでした。上皇上皇后両陛下に深い感謝を抱きながら最後のページを閉じました。2025/02/25
やいっち
7
本書扉の裏に、「本書の記述はすべて筆者による取材と信頼を置ける資料に基づいており、想像、憶測に基づいたものはない。」云々と注意書きしてある。それだけに単調になりがち…の懸念が。それは読み進める都度、杞憂に終わる。空気は常に緊迫している。2025/04/24
伊達者
2
大作も退位までの下巻となる。著者は日経記者で冨田メモのスクープで新聞協会賞。執筆にあたり資料として宮内庁記者クラブにあった膨大な過去の皇室新聞記事のスクラップを使用したそうだ。詳細な注釈で記載の根拠が示されている。下巻では上皇后に一層重点が置かれ,その思想性や文学的素養の高さと表現能力が平成流象徴天皇の演出者であることを示す。日本は災害の多い国であることを再確認させる。その都度上皇夫妻は現地を訪問して慰霊と慰めの旅を行ってきた。二人の数々の発言も詳しく記している。上皇の政治性のある姿も浮き彫りになる。2025/01/03
痴遊亭区路州
1
1989年1月に即位し、2019年4月に退位するまでの30年間にわたる、天皇と皇后の読みごたえのある伝記。皇太子夫妻、宮内官僚、政府、マスコミ等との関係や、外国訪問、日本各地での国民との触れ合いを詳細に描く。特に宮内庁長官らに退任の意思を伝えてから、退任を”達成”するまで足かけ10年も要したのは、大変だったと思う。「憲法に定められてはいるが、その『かたち』が明確ではなかった”象徴”を天皇は皇后と共に形作った」との著者の結論には充分説得力がると思った。2025/03/11