出版社内容情報
大都市ニューヨークから世界を見つめるオースター。南アフリカに生まれ、辺境から現実を描いてきたクッツェー。ともに現代を代表する二人の作家が、文学論を戦わせ、世界情勢を憂いては、創作の秘密を語り合い、日常の悩みを打ち明ける。二一世紀に小説の意義を問うすべての読者に贈る、知性と信愛に満ちた書簡集。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
60
オースター、クッツェー間の約3年に亘る往復書簡。本業の傍ら講演等で欧米豪を行き来する多忙な二人なのに、よくこれだけ書けるなぁ、とそのタフさに驚き。話題は多方面。スポーツ観戦の意味からイスラエル、南アフリカの政治状況、その間にあったリーマンショックへの見解、悪意ある書評家断罪、文学の今日的意味等々。クッツェーが仕掛けオースターが受けて立つ感じ、で一旦火を吹いた時の各々の集中力が半端ないが、機会を見つけては夫婦で出会って和やかな一時を過ごす気のあった二人のやりとりは、いつもお互いへの敬意と温かさに満ちている。2022/01/03
踊る猫
37
まさに知性のぶつかり合い。話題は広い。スポーツや近親相姦、政治や日々の些細な出来事。しかしどんなトピックを扱っても彼らの手に掛かれば重要な問題となって、こちらを唸らせる思考の種となって迫り出してくるのだ。訳文がこなれていないように思われたのはまあ、柴田元幸が訳したオースターしか読んでいない(し、クッツェーに至っては全然読めていない)私の知的怠慢によるものだろう。なので即座にクッツェーを読みたくさせられた。あとはまあ、同世代(?)の男同士のホモ・ソーシャル/男臭さがどう女性ウケするのか気になったりもするけど2019/01/27
miyu
32
昔々あれほど読み耽ったオースターだが何故か読まなくなってほぼ10年は経つ。そしてクッツェーは読み友様方からの薄っすらとした推しがあれど何となく自分とは反りが合わぬ様な気がして未だに避けている。(その手の作家が私には多い)書簡集や日記はわりと好物なので気軽に読み始めたが、途中で体調を崩したこともあり読了に半月ほどかかった。オースターはお馴染みの感じ。一方のクッツェーは酷いことを淡々かつサラリと言ってのける。しかし特に嫌味に聴こえないので不思議な人だな。むしろあまり熱くならない点がオースターより好みだった。2017/07/31
たー
22
テーマがスポーツから政治まで多岐にわたり非常に面白い。クッツェーの本は読んだことがないので、読んでみたい。2015/01/01
aoneko
20
クッツェーがあるテーマを投げかけ、それをオースターが受けて、ふくらませながら返事を書く。往復書簡であり希代の作家たちの作品と作品のあいだを繋ぐ嬉遊曲。テーマは多岐にわたっていて、そもそも友情とは•••のはなしがとりわけ興味深かったけれど、全体として、腹蔵なく交換される意見の違いに温かさ真摯さを感じる。 2015/01/20
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