出版社内容情報
文化大革命当時、農山村に送られた一七〇〇万もの「知識青年」たち。中でも内モンゴル、新疆、雲南などの「辺境」では、少数民族との知られざる「相思相愛」関係が生まれていた。七〇歳になった元「青年」たちのオーラルヒストリーが開く中国民族問題の糸口。
内容説明
文化大革命当時、内モンゴル、新疆などの辺境に送られた「知識青年」。下放運動が出会ったフロンティアとは何だったか。70歳になった元「青年」たちのオーラルヒストリーが描き出す「1968年の青年たちの世界史」。
目次
序章 知識青年の創出した意識変革
第1章 北京からモンゴル草原へ飛んだ「赤い鷹」
第2章 南京を旅立った「革命的荒武者」
第3章 中国内地の「天国」と地獄
第4章 雲南のフロンティアとビルマ共産党ゲリラ
第5章 新疆西部辺境の屯田兵
終章 一九六八年、青年たちの世界史
著者等紹介
楊海英[ヨウカイエイ]
モンゴル名オーノス・チョクトを翻訳した日本名は大野旭。1964年、内モンゴル自治区オルドス生まれ。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。89年3月来日。国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了。博士(文学)。静岡大学人文社会科学部教授。主な著作に『墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(上・下)』(岩波書店、2009年。2010年度司馬遼太郎賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
文化大革命と世界史の繋がりに着目し、農山村へ下放された「知識青年」たちのオーラルヒストリーを元に当時の状況を描いている。「毛沢東思想の輸出と世界革命の戦略」といった文脈で目立つのはビルマ共産党への知識青年たちの加入くらいで、知識青年が世界史に与えた影響は限定的だったのではないだろうか。どちらかと言えば、知識青年たちが各地で迫害される中、モンゴル人だけは青年たちを手厚くもてなし、稀に見る良好な民族関係を構築したという話が中心。漢民族の蛮行とモンゴル人の悲哀を描く著者ならではの作品に収斂された印象。2018/09/23
ののまる
9
下放された「知識青年」のうち、内地の漢民族農民や幹部にはひどい虐待をうけたが、ウイグル、内モンゴルなどの辺境の少数民族地域に配属された若者は、少数民族にとても手厚くもてなされ、いまも親愛の情を結んでいるという。いまも中国での民族問題は複雑だが、皮肉にも異民族を徹底的に迫害した文革がきっかけとなって生まれた異民族間の友愛。2020/06/16
見もの・読みもの日記
3
文革当時、下放青年の多くが農村で辛酸を舐めたが、例外的に内モンゴル自治区では下放青年とモンゴル人が良好な関係を築けたのはなぜか。結論は納得できるが、応用が利くものではなさそう。苦難ばかりのモンゴルの近代史について、初めて少し知った。2018/09/27
非実在の構想
1
文革という権力闘争で利用された紅衛兵が厄介払いされた先での体験のルポ。ただただ辛い。凝り固まったイデオロギーは人を狂わせる2018/09/15
石橋
0
「下放青年」「知識青年」と記述が変わるので混乱する。青年達を放出した地域格差が大きいからだろう。知識層を排除するための「下放」と、暴れん坊すぎる紅衛兵の駆逐のための「下放」等色々あった。2019/05/22
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