出版社内容情報
現代中国の革命宣伝において,1930年代上海の商業芸術,農村の伝統文化,革命根拠地・延安での宣伝活動,ソ連社会主義リアリズム,といったエッセンスを吸収しながら,毛沢東の神格化を図っていく.図版満載.
内容説明
赤色が異様に強調され、英雄人物はことさら巨大に描かれ、頑健で無垢で平準化された大衆の身体が英雄を支える中国の宣伝画。中国のプロパガンダ芸術は、革命イデオロギー宣伝と民衆の啓蒙のために創造され、心身が改造された大衆は、個人崇拝によって、革命伝統の純血化を進めた。毛沢東誕生から一世紀を経て、社会主義市場経済化の下、中国では果たして毛沢東の呪縛は解けたのか?二〇世紀のプロパガンダとアジア的専制アートから、われわれは自由になれたのだろうか?大衆教化のための革命宣伝技術。革命英雄・毛沢東が誕生し神格化され破壊されていく過程を徹底解剖!図版二〇〇点。
目次
政治的身体としての毛沢東
第1部 生成(都市の快楽―一九三〇年代の商業芸術;宣伝の担い手―文工団とその役割;美術家たちの「長征」―延安・魯芸での活動)
第2部 隆盛(毛沢東像の誕生―個人崇拝への道;アジア的専制アート―増殖する毛沢東像;翳りなき表象―秧歌劇から革命模範劇へ)
第3部 変容(毛沢東様式への反逆―政治的ポップアート;鎮魂と郷愁―毛沢東の「影」;プロパガンダとの訣別―現代アートの最前線)
プロパガンダと身体性
著者等紹介
松浦恒雄[マツウラツネオ]
1957年生まれ。神戸大学大学院修士課程修了。大阪市立大学文学部助教授
川田進[カワタススム]
1962年生まれ。大阪外国語大学大学院修士課程修了。大阪工業大学専任講師
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