内容説明
「追い出し部屋」と呼ばれる部署がある。そこで、過酷なノルマ、連日のダメ出しによって退職を迫られる社員たち。一方、「超国家企業」は、人切りのあげくに、人材を安く買い叩こうとしている。このにっぽんでは、正社員も非正規社員も、安心して働くことは不可能になった。「追い出し部屋」は、私たちの社会がたどり着いた限界の象徴だ。そこで何が起きているのか、なぜこんなことになってしまったのか。大反響を呼んだ朝日新聞連載を単行本化!
目次
第1章 貧困と生活苦のにっぽん(夜をさまよう「マクド難民」―非正規の職まで失う;マクド難民予備軍―「稼ぎ悪すぎ、アパートなんて」 ほか)
第2章 追い出し部屋―にっぽんの「勝ち組」がたどり着いた先(配属先は「追い出し部屋」;追い出し部屋次々(1)―「客つくれ、会社来なくていい」 ほか)
第3章 人切り社会にっぽん(再就職支援ビジネス―「全力で支援、なんてウソだ」;派遣に代わり増える出向―「異業種でも、仕事あれば」 ほか)
第4章 「超国家企業」という荒波―空洞化するにっぽんの雇用(ユニクロ、世界で賃金統一―「超国家企業」が揺さぶる雇用;フラット化する賃金―「国内に残すなら賃下げ」 ほか)
第5章 偽りの成長戦略―雇用なきにっぽんの姿(介護バブル―群がるファンド;「介護を成長産業に」の陰で―「なぜ突然値上げするのか」 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
32
13~14年前を思い出した。構造改革の名の下、大企業が多くの人員削減を行った頃だ。残った人、新規入社した人に厳しい現実と底なし沼が大きな口を開けて待っている。この書に出てくる「マクド難民」「追い出し部屋」「ブラック企業」「介護バブル」他にも沢山の言葉が生まれてくる。当時は無かった言葉だ。アベノミクスとやらで景気が良くなったとはいえ、それは大企業や投資家にとってのもの。一般庶民や中小企業にとっては何も得るものはないと思う。これからますます生きづらい時代になってゆく。若者は減り老人が残る社会、どうなる日本・・2014/08/21
壱萬参仟縁
19
24時間定住する場のない者は、マクド難民と化している(ⅵ頁)。 マクド難民に声をかけて日雇スカウト(4頁)。 これが度を過ぎると、イチエフで収束作業に駆り立てられるのかも。 業績悪化企業に雇用を求める政策は効果でないのは自明(7頁)。 安倍首相は外遊中だが。 生島ヒロシおはよう一直線でもやってたが、 母子家庭もネットカフェ。 駅寝の人は月収6万円という(9頁)。 国年満額と似た金額。 ネットカフェ>個室ビデオ店>マクドの序列。 ならば、カプセルは最高なのだ。 2014/05/01
おさむ
17
名だたる大企業の「追い出し部屋」を初めて世に明らかにしたドキュメント。ユニクロの「世界同一賃金」に代表される超国家企業の広がりと併せることで、日本の企業社会のこれからが、「働く者」にとっては厳しく過酷なものになっていくことがわかる。2014/09/17
RmB
8
「追い出し部屋」までつくりながらリストラを進めようとする会社がある一方、常に人手不足の会社もある。格差は企業間でも広がっているのでしょう。2014/07/11
まゆまゆ
5
派遣切りにあうとマック難民、正社員として勤めていても追い出し部屋行き……雇用を巡り、働く人、人間の尊厳を踏みにじるかのような過酷な実態を記すルポルタージュ。会社としては一度上げた給料を簡単に下げられないため、人件費を下げるためにはダメ人間のレッテルを張ることが一番楽だってことか……。そうやって雰囲気を悪くして売上上がらず、更なる赤字でまた追い出し部屋行きが増えるとはなんたる悪循環……2014/08/13