出版社内容情報
歴史の苛烈な重圧を耐え担った人々の懐に潜んでいた記憶が,ある日猛然と立ち上がる.ほのかに感じとられる希望,世界は大きく変貌してゆく.そしてその隣国の人達の歩みと素顔がさまざまに織り込まれる80~90年代の13編.
内容説明
未来へと駆けてゆく90年代の短篇群を収める。あのように揺るぎなくみえた韓国の家族の結びつきにさえ時代の息吹が急速に打ち寄せる。旧弊なる村人や役人と果敢にやりあうパワフルなキッチン・ドリンカーのバツイチかあちゃんに新時代の息吹を感じさせる「かあちゃんはシングルマザー」、家族に持てあまされ見放された「アンビシャスな悪ガキ」の警察署に託された日々を描いてしみじみとした哀歓の満ちる「警察署よ、さようなら」など、新しいステージに立って戸惑い、この現在に屈託する心を持ちながら今に臨む人々の素顔が浮かび上がる。収録の諸作品はいずれも現代を斬新な切り口から鮮烈な感覚で描き出す。