内容説明
経済活動において農業の占める割合は、特に先進国では小さくなってはいるものの、人が食事をする存在である限り、農業の重要性は未来永劫変わらない。この本は封建社会未期から現代まで、農業・農学は何を課題にし、どう展開してきたのか、またその基本理念・思想はどうであったのかを説明する。そして現代農業の課題と展望を示す。農業・農学を学ぼうと志す人びと必携の書である。
目次
はじめに 農業・農学を学ぶ人のために
1 近代農業・農学成立への胎動
2 資本主義の成立と農業・農学の発展
3 資本主義の矛盾克服の思想と農業・農学
4 資本主義の再生・高度成長と農業・農学
5 現代農業・農学の思想と展望
著者等紹介
祖田修[ソダオサム]
1939年島根県生まれ。63年京都大学農学部農林経済学科卒業。農林省経済局、龍谷大学経済学部助教授、京都大学大学院農学研究科教授、放送大学客員教授、福井県立大学経済・経営学部教授、同大学学長を歴任。農学博士。京都大学名誉教授。専攻は、農学原論、地域経済論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
11
滅多に行けない図書館新刊棚。農学は実際科学(ⅵ頁)。仏重農主義は農業振興こそ真の富を生む(5頁)。ケネーはキケロを引用する(11頁)。タルという英国人は知らなかった(22頁~)。『馬力中耕農法』1731年は彼の唯一の著書(23頁)。農学体系化はテーア(33頁)。公務員試験農学で出てきたのを想起。彼の主著『合理的農業の原理』(39頁)。チューネン『孤立国』(57頁)。マルサスにリカード。横井時敬の中小農保全(90頁)。フーリエ協同社会、プルードン桶屋貧家、オーウェン失業突破。マルクス、レーニン、カウツキー。2013/09/04
千日紅
4
本書の目的は「産業革命以降のおよそ250年間、どのような時代の変化の中で、農業・農学は何を課題にし、どう展開してきたのか、その基本理念ないしは思想はどうであったか、また今後の方向はどうか等、その大きな流れを捉え(ⅴ頁)」ることにある。農学が専門ではないが、分かりやすくまとめてくれているので、流れに乗って読むことができた。歴史的に経済学者がこれほど農業を素材にして論考を深めたのかと驚いたと同時に、経済史を別の角度から捉えることができた。2014/04/16
takao
2
ふむ2022/10/15
nobinobi
1
農業思想の根底にあるのは、市場原理とどのように折り合いをつけるかにあるのかな、と本書を読んで感じた。簡単に言ってしまえば、農業も他産業と同様に市場原理の元で行われるべきだという一派と、いやいや農業には他産業にはない特徴があって市場原理に全てを委ねるなんてとんでもないという一派があるのかなと。そのような思想史を背景に、筆者は今後の農業(農学)が進むべき道として、場の農学を提起している。いままでは、個別に評価されていた経済価値、生活価値、生態環境価値を統合して評価できるようにするもので、これには共感した。2017/07/27