出版社内容情報
長引く不況のもと,高校の階層構造はますます厳しいものになり,公立校の地盤沈下が言われているが,有効な手立ては打たれていない.一時的に魅力ある学校はつくれても,大きな力にはならない…….そんななか著者が出会った大阪の二つの公立高校.15年におよぶ関わりから見えてきた,〈希望劣化社会〉を乗り越えるヒントとは?
内容説明
長引く不況のもと、各個人が“強くあること”“何かができること”へとせき立てられる。高校の階層構造はますます硬直化し、ひとを分断していく。大切にすべき何ものかが置き去りにされる時代。そんななか、大阪の二つの公立高校に一六年間寄り添う過程で見えてきた、“希望劣化社会”を乗り越えるヒントとは。
目次
可能性としての高校教育
第1部 大阪府立松原高等学校(もうひとつの高校づくり―松高の創設と構造変容;学びの再構築と優しいチカラの育成―総合学科への転換)
第2部 大阪府立布施北高等学校(「しんどい高校」のエンパワメント―布施北の困難さの根っこ;布施北版デュアルシステムのインパクト―正の循環と私たちへの問いかけ)
希望をつむぐ高校―持続可能な「公共圏」をはぐくむ
著者等紹介
菊地栄治[キクチエイジ]
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。愛媛県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。国立教育政策研究所総括研究官を経て、2005年より早稲田大学教員。専門は教育社会学・教育経営学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おサゲっち
4
現代の教育とこれからの可能性を語る名著。似たような高校で勤務する者として、頑張らないとなあ、と力が湧いてくる。松原も布施北も実践が上から言われてのものでなく、生徒から立ち上がったところに大きな意味がある。主権者教育なんて言葉だけが先行する昨今だが、両高校は着実に生徒各自の胸にエンパワーメントの種子が発芽している。2022/01/03
nom
3
大阪の二つの「しんどい」高校の実践。弱者が弱さを見せられる環境をいかにつくるかなのかなあ。学校組織としてうまく動くのもそう簡単ではないのを改めて感じる。2016/03/16
ひろと
2
一番感じたのは、学校や子どもの問題を解決していくには、チーム、もしくは地域で動いていく必要があること。集団で目標に向かって動いていくことが不可欠であるのだなと。 もちろんそんなのはわかっているけど、少しだけ忘れている。当たり前のことを再確認。そういう作業がほんとうに大事。 本は学校における問題に対して公立高校が実際にどういうアプローチをしたのか、またどういう結果が出ているのか、までを書いているので、よくある「これが問題だ!」で終わるだけじゃないところが面白いと思いました。2013/05/02
しゅんぺい(笑)
2
ゼミの先生の著書。 これが公立高校の取り組みなのかー、と励まされる気持ちで読めました。こういう施設があってもおかしくないと思いました。2012/05/06