内容説明
人間のエゴイズムとモラルの崩壊、肥大する欲望と環境破壊…旧約聖書の思想は、現代になお生きたメッセージを発信しているのだろうか。カントとキルケゴール、レヴィナスとデリダ、ユングと西田幾多郎―旧約に問いかけ、その世界像や神観念と格闘した思想家たちと対話する。旧約の“信”の核心に置かれた象徴を解釈学の方法によって解読し、受苦・受難の逆説と贖罪思想とが拓く宗教の次元に哲学的な表現を与える。価値が多様化し拡散した今日、普遍的な規範を再生することは可能だろうか。旧約聖書学と哲学とが交差する地点に立って構想された、新たな“普遍への理路”。
目次
第1部 旧約聖書と哲学(イサク献供物語の哲学的解釈―創世紀二二章の謎を解く;受難の逆説―第二イザヤとソクラテスを比較して;旧約的一神教の再構築―旧約学と哲学との対話から)
第2部 旧約思想と現代(旧約的神理解の現代性―コーヘレス、シェーンベルク、ユング;倫理の再生へ―喜ばしい共生の理路を尋ねて)
第3部 預言者と救済論(預言者的救済の系譜―イザヤ、第二イザヤ、エレミヤ;預言者と申命記主義(上)―研究史暼見
預言者と申命記主義(下)―エレミヤ書の場合)
著者等紹介
関根清三[セキネセイゾウ]
1950年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程修了。東京大学より博士(文学)、ミュンヘン大学よりDr.Theol.。現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部・教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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