内容説明
一九四〇年、ドイツ軍の電撃戦の前に、ダンケルクへと潰走する英仏連合軍。フランス軍参謀将校として従軍していたブロックは、そのただなかで苦闘しながら、自問していた―なぜフランスは敗れたのか、と。ひとりの市民として“暗い時代”を真摯に生き、レジスタンス活動のなかでナチスの銃弾に斃れた、この卓越した歴史家による手記は、今なおさまざまな問題を私たちに投げかける。ブロックの最期を生々しく伝えるG・アルトマンの序文、および政治学者S・ホフマンの新版序文を付す。待望の新訳。
目次
第1章 証人の紹介
第2章 ある敗者の証言
第3章 あるフランス人の意識の検証
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんころもち
12
著者は20世紀を代表する歴史学者の一人である。1940年徴兵されて、ナチス・ドイツとの戦争に従事した。本書で描かれるのは、「歴史家が描いた戦争」ではなく、「兵士が見た戦争」である。しかも、ただの兵士ではなく、歴史家である。それだけに、描かれる軍の失態は生々しい。本著では、指揮の無能、官僚組織の無能が事細かに叙述される。読者はその一つ一つに、身近の組織の問題点を考えずにはいられないであろう。地域と時代という文脈は異なれど、そこにいるのは間違い無く人間である。 2015/12/06
hajimemasite
6
中世史の第一人者であるマルク・ブロックによる1940年の敗北に関する著書で、分野に関する最初の研究書。三部構成で、おおまかに第一部が従軍大尉としての敗北の記録、第二部が軍事的敗因の分析、第三部が政治・社会システムとしての敗因の分析となっている。両大戦に従軍した社会学者が行っているという面でも貴重だが、『電撃戦』への言及がほとんどなく、連合軍(特にフランス軍)の指揮系統の問題を中心としているのは近年のフランス戦本のようで、一周回ったことを感じさせて面白い。2017/04/10
電羊齋
5
歴史家マルク・ブロックによる1940年のフランスの対独敗戦に関する著作。50代という高齢を押して従軍したブロックの一軍人としての視点と歴史家としての視点の双方からフランスの敗因を分析。今読んでも興味深い指摘が多い。第一章では対独戦でのブロックの従軍記が記述され、第二章では軍事的角度からの敗因分析、第三章では政治・社会的角度からの敗因分析が行われている。2018/02/15
harass
1
歴史研究家として高名な著者は、第一次大戦と第二次大戦で従軍し、ドイツ占領下でレジスタンス活動を指揮していたが逮捕後処刑された。この本は、生前に仏国民に向けて、無残な敗北、それも予定されていたような敗北(第二次大戦初期にドイツ軍の侵攻により二ヶ月足らずで降伏してしまった)のことを、今後に活かすために書かれた文書で構成している。 現場で彼が見てきたことを挙げている。だがこの怠慢な現場は腐敗した組織だと普遍てきな状況なのかもと感じる。この本だけでは、いまいち状況や背景がわかりにくいのではないかと思う。2012/06/09
メルヘンチック
0
翻訳が残念過ぎて読みづらい。かといって原書で読むわけにもいかんしなぁ。