出版社内容情報
非アラブ地域にありながら,イスラム教を受容してきた4つの国々.地域の伝統と絶対的な帰依を求める宗教とのはざまで葛藤する人々-世界的視野を持つ作家として数々の文学賞を受けてきた著者は,政治家から村のまじない師まで,多様な生の物語を丹念に聞き取ることで,激動するイスラム社会の現在を浮き彫りにする.
内容説明
権力にあらがえない法律の無力さに苛立つ若い弁護士、裕福な家庭に生まれながらゲリラとなった革命家、まじない師の父親を持ちつつもイスラムへと改宗した息子…。インドネシアからイラン(上巻収録)、さらにパキスタンからマレーシアへと続く、イスラム紀行。ひとつひとつ積み重ねられる生の物語が、揺れ動くイスラム社会の現在を浮き彫りにする。旧植民地に生まれたインド系英語文学作家として、現代文学に新しい視点を提供し続けてきた巨匠・ナイポールが生み出した、新しい文学のかたち。
目次
第3部 パキスタン―世界図からの脱落(犯罪企業;政治形態;村に戻ったラナ;ゲリラ;悔悟者;喪失;北方から;アリの足跡;戦争)
第4部 マレーシア追記―ヤシの殻の空(古着;新しい模範;まじない師の息子;もう一つの世界)
著者等紹介
ナイポール,V.S.[Naipaul,V.S.]
1932年、インド系移民の3世として、カリブ海の島トリニダードに生まれる。1950年、奨学金を得て渡英。オックスフォード大学卒業後、創作活動へ。以後、『ビスワス氏の家』(1961年)、『自由の国にて』(1971年)、『ゲリラ』(1975年)、『暗い河』(1979年)、『ア・ウェイ・イン・ザ・ワールド』(1994年)などの小説作品だけでなく、『インド―闇の領域』(1964年)、『インド―傷ついた文明』(1977年)、『イスラム紀行』(1981年)、『インド―新しい顔』(1990年)など、新しいスタイルの紀行文学においても世界的に高い評価を得ている。スミス賞、ブッカー賞をはじめとする文学賞を数多く受賞。旧植民地出身の英語文学作家の旗手として、現代文学を代表する作家の一人
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