岩波ブックレット
教育改革のゆくえ―格差社会か共生社会か

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  • サイズ A5判/ページ数 71p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784000093880
  • NDC分類 373.1
  • Cコード C0336

内容説明

本書は、比較的最近の講演のレジュメと記録をベースにして再構成したものです。内容的には、『義務教育を問いなおす』と重複する部分もありますが、原理論的な部分を削除し、構成と議論を再編・簡略化し、安倍政権の「教育再生」構想を含めて、ごく最近の展開・問題を付け加え、例示やエピソードなども多くし、問題の性質や争点を明らかにするように努めました。

目次

1章 危険な「改革のための改革」(危険な改革幻想;教育改革の時代 ほか)
2章 教育改革が招く「教育の危機」(これまでの改革は成功したのか?;「教育病理」現象は解決・改善したか? ほか)
3章 解体される日本の義務教育(四つの歪んだ改革と義務教育の危機;知識社会の進展と「ゆとり教育」改革との矛盾 ほか)
4章 二一世紀の教育と教育改革の課題(知識・技術・資格・規範のグローバル・スタンダード化;欧米諸国の改革動向 ほか)

著者等紹介

藤田英典[フジタヒデノリ]
1944年生まれ。石川県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、スタンフォード大学教育系大学院修了(Ph.D.)。国際基督教大学教授。日本学術会議会員。教育社会学。国内のみならず海外の教育事情にも通暁した幅広い観点から、近年一貫して、教育格差を広げる教育改革の動向に反対しつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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katoyann

14
教育改革国民会議が中心となり提起し、その後実行された一連の教育改革の是非を批判した研究である。公立中高一貫校や学校選択制に見られる改革は、小・中学校段階から学校を格差化・差別化し、恵まれた家庭やテストのできる子どもを優遇する教育を目指すものだった。全国一斉学力テストの実施も学校間の競争を煽った。結果として、競争は早期化され、東京では私立中学受験者が増える一方である。一方で、過熱化した早期教育を含め、「過度な競争主義」は子どもの自己肯定感を下げることになった。能力主義的な差別が跋扈するのは改革の成果だろう。2021/09/11

Takao

2
2006年11月2日(2008年3月5日、第4刷)発行。「危険な『改革のための改革』」「教育改革が招く〈教育の危機〉」「解体される日本の義務教育」「二一世紀の教育と教育改革の課題」の4章からなる。1980年代から始められた「教育改革」こそが日本の教育を壊してきたことを熱く語る。巻末で、教育の改善・充実を図るためには、お金と人、時間をかけることや、教職員と家庭や地域社会の信頼・支援・協力の必要性などを説き、「教職員の専門性と協働性と誇り・夢を大切にしない社会の教育は失敗します」と断言する。同感だ。2016/08/22

FK

0
著者のスタンスは次の文章で分かる。/日本の教育は世界的に見れば非常に優れているにもかかわらず、その優れた側面とそれを支えてきた基盤を否定・破壊し、その機能をますます低下させるような改革を進めてきた(P.27)2007/02/02

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