内容説明
蛇口からしたたる水滴の落下は日常よく目にする現象である。この水滴系は実験が容易なよいモデルシステムであり、流量を変化させるとカオスへの遷移や分岐、ヒステリシス、多安定構造といった多様な非線形現象が観察される。情報理論を用いて力学系の予測可能性を考察し、系の情報量、エントロピーという2つの不変量を実験データに基づいて計算する。非線形動力学、複雑系などの分野の起点となった代表的カオス研究。
目次
序
実験
モデルと実験データの概略
現象論
アナログモデル
情報理論と力学系
最小情報分布
予測可能性
写像のエントロピー
ノイズと力学系
系に蓄えられる情報量
実験データ
情報損失率
決定論とエントロピー
観測に伴うノイズ
記号力学
モデル化の限界
良いモデルとは?
モデル化の不可能性
結び
著者等紹介
ショウ,ロバート[ショウ,ロバート][Shaw,Robert]
1946年生まれ。専門は非線形物理学、力学系。1970年代後半にカリフォルニア大学サンタクルス校で博士号取得。1988年に、カオス力学系の研究により、マッカーサー財団ジニアスフェローシップとなった。現在はイタリア、ベニスのProtoLife Srl.で細胞の初期形成過程の研究に従事
佐藤譲[サトウユズル]
1968年生まれ。専門は複雑系、非線形力学系。2000年に東京大学で博士号取得。理化学研究所基礎科学特別研究員、サンタフェ研究所ポストドクトラルフェローなどを経て現在、北海道大学電子科学研究所助教授、サンタフェ研究所客員研究員。カオスの情報構造、記憶と学習のダイナミクスの研究に従事
津田一郎[ツダイチロウ]
1953年生まれ。専門は複雑系数理学、カオス、脳神経科学。1982年、京都大学で博士号取得。九州工業大学情報工学部助教授、北海道大学大学院理学研究科数学専攻教授などを経て現在、北海道大学電子科学研究所教授、大阪大学招聘教授、北陸先端科学技術大学院大学アカデミックアドバイザー、記憶の数理構造、思考・推論の脳内表現、カオス力学系などの研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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