内容説明
荒廃した人工林を、いかに修復し、健全に維持・管理するか。大規模な実態調査と実証研究にもとづく本書は、その難題に対処する具体的な指針を与えてくれる。林斜面から河川流域までの水・土砂移動のメカニズムを、科学的に解説した基本図書。森林管理、治山・治水、水源保全に携わる立案者・実務者は、常備必読である。
目次
1 人工林荒廃とは何か(誤解の多い人工林荒廃の問題;従来の人工林の荒廃に関する研究とその問題点;環境と森林政策;本書の構成)
2 人工林における表面流の発生(従来の人工林の荒廃に関する研究とその問題点;ヒノキ林内における雨滴の変化;樹幹流の量と分布;雨滴衝撃と表面流の発生;撥水性と表面流の発生;土壌表層で生じるバイオマットフロー)
3 表面流は河川へどう流れるか?(森林流域における降雨流出に関する従来の研究;斜面スケールにおける表面流の流出;ヒノキ林流域と広葉樹林流域の降雨流出の違い;水文トレーサを用いた降雨流出における表面流の寄与の推定;森林の種類による栄養塩流出の違い)
4 人工林の荒廃で土砂が川に流れ込む(人工林の土壌侵食に関する従来の研究;森林の状態と土壌の変化;雨滴侵食のメカニズムと森林における雨滴侵食の実態;人工林斜面の土壌浸食;放射性降下物を用いたヒノキ林における土壌浸食量の推定;放射性降下物を用いた河川浮遊土砂の起源推定)
5 これからの流域森林管理に向けて(流域森林管理の歴史と現状;森林政策の現状と森林管理;下層植生に配慮した森林管理の試み;人工林管理においてなぜ下層植生が必要か;流域森林管理と市民参加)
著者等紹介
恩田裕一[オンダユウイチ]
1962年生まれ。筑波大学大学院生命環境科学研究科准教授。水文地形学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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