感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
4
花の都と呼ばれ世界に名だたる都市はどのようなトポスの上に成り立っているか。セーヌが貫流し中心に大聖堂を持ち迷宮のようなシステムを抱えるパリの力学を論じる。規範文法にしても一九世紀のパリ大改造にしても、なにかしら規範に牽引されるのが常で、それゆえ行政機関も融通が効かない…などなど、著者の経験を交えてエッセイ的に語られるが、結局パリの複雑さを見せつけられるに終始したような。「五月革命は休暇ムードだった」という証言や記号論的な分析など、当時の知的風土を感じさせてどこかノスタルジックだった。2013/05/21