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出版社内容情報
難しい氷壁登攀の輝かしい成功から一転して,骨折,墜落,宙吊り,そしてパートナーによるザイル切断という絶望的な状況に陥ったクライマーが,肉体と精神の果しない死闘を経て辛くも生還するという迫真的な物語り.
内容説明
本書は宙づりになってザイルを切断されたクライマーが、孤独と不安、意識の混乱、死への誘惑など、底知れぬ「虚空」に剥き出しになった自己の意識の激しい葛藤と、傷ついた肉体との格闘を経て辛くも生還するという、かつて日本人が書かなかった極限状況における意識と肉体のドラマを迫真的に描き切っている。優れたノンフィクション文学に与えられる国際的な文学賞である「NCR賞」と良質な山岳文学に与えられる「ボードマン・タスカー賞」を受賞。
目次
1 山の湖の下で
2 氷壁に挑む
3 頂きの嵐
4 稜線上の苦闘
5 事故
6 最後の選択
7 氷に刻まれた影
8 沈黙の目撃者
9 遙か遠くで
10 心の中のゲーム
11 非情な大地
12 時間切れ
13 溢れる涙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たみ
17
生還ノンフィクション。下山中に足を骨折した著者:ジョーと、友人:サイモンの記録。ジョーは骨折後にクレパスに滑落しロープで宙吊りになる。もろともの死を避けるためにサイモンは2人を繋いでいたロープを切断する。要所でサイモン視点も入ります。這いずって瀕死で生還したジョーと、友人の死を背負っていたサイモンがベースキャンプで再会した場面で涙した。2人が口に出した言葉と、あえて出さなかった言葉、友情とか絆といった言葉が陳腐に思えてくる。なぜ彼等は山に登るのか…2015/02/02
100名山
3
冬山の経験がある人なら、そのリアリティーに恐怖を感じるでしょう。 前半の登頂までの記述とクレバスの中で生きていることを知り、戻る戦い。 情景描写もさることながら、その心理描写は事故経験者には当時にオーバーラップし、古傷が疼いてきます。 岩や雪をやらない人にも、遭難とは何か、生きるとは何かと臨場感を以て伝わります。 決して諦めないことが「帰る。」唯一の道であることが理解させられます。 山での事故を素材にした記録文学では最も怖い作品です。 2010/01/21
moe
3
作者自身の実体験だけに迫真の内容でした。登山用語が分かりにくかったです。(読み終わるまで巻末の用語解説に気付きませんでした…)同様の遭難事故で「ミニヤコンカ奇跡の生還」という本があります。そちらはベースキャンプの人たちに死んだと思われて置いていかれたこともあり、怒りや恨みがヒシヒシと伝わってきましたが、この本の作者は死んだと思って先にベースキャンプに戻った相棒に対して文句も言わず、「ありがとう」「あれでいいんだよ」と言ってしまうところがスゴイと思いました。映画もあるそうなので機会があれば観てみたいです。2010/12/29
のちおちゃん
0
☆☆☆☆2002/06/08
よしあ
0
フィクションだったとしたら出来過ぎの話だが、これが本人による実話…。序を書いた登山家曰く「極限での恐怖、苦しみ、感情の揺れ」「臨場感と直接的な体験の力」が書かれている。 雪山登山のアクションはいまいち分からないけど、それでも引き込まれる。内省がこれでもかとばかりに書かれているのだが、実際起こったことの当事者かと思うと、よく文章化できたなぁと思う。欲を言えば、生還した後日譚も知りたかった。 2024/08/22
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