出版社内容情報
幼い日のこと,東京への出奔,農民運動一途の夫との出会いや結婚,戦時下の弾圧,4人の子育て,夫の死後ようやく筆をとった名作『橋のない川』――平等社会への“夢”に生きた93年の生涯を,初めて娘に語りあかす.
目次
第1部 (生まれ故郷;家族;日々の暮らし向き ほか)
第2部 (犬田卯との出会い;ふたり暮らし;関東大震災 ほか)
第3部 (牛久へ;大地にひらく;東京のかあちゃん ほか)
第4部 (『橋のない川』;被差別部落へ;読者からの反響 ほか)
第5部 (抱樸舎;老子、荘子の思想;差別の構造;わたしの原点)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
33
大逆事件はデッチあげ。明治天皇暗殺をはかったことを口実に社会主義者、無政府主義者、反明治政府、反権力反戦の人を検挙弾圧(15頁)。住井先生をつき動かしたのは差別構造のもととしての天皇制問題(29頁)と述懐される。文学と思ったのは長塚節の『土』(30頁)。岩波文庫緑版で分厚いのがあったと思う。学部時代の三輪泰史先生の教職科目日本史概論でレポート不可(1993年)となったのを覚えている。唯一不可だったが、慶大では国文学とか通らなかったと思う。2015/09/21
あこ
2
母に借りて、読んでみました。「橋のない川」読んでみようかなぁ~2015/08/06
芋煮うどん
1
とことん反骨の人なんだなあ2014/02/12
oyoide
0
住井すゑさんのパートナーの犬田卯さんに多大なシンパシーを覚える。 大正期から戦後に亘る住井犬田ご夫妻の記録と、橋のない川の成り立ちが、ご息女増田れい子さんとの対談形式でオーラルヒストリーのように書かれている。 未だ未達の差別撤廃運動を思うと、氏らの努力、歯痒さを感じた。またこうした運動を忘れ去り、あるいは冷笑、そして無視している現代に、再び社会的断絶、戦争の危機が迫っていることを思うと、氏らの言葉が生々しく感じて恐ろしくなった。2022/05/24
アネモネ
0
いつか読んでみたいと思っていた作家。自分が直接虐げられたわけでもないのに、確固とした反差別の精神を持つ。そうではない人との差は何か、考えさせられる。2021/07/02