ピッピの生みの親アストリッド・リンドグレーン

三瓶恵子

岩波書店（1999/11発売）

• サイズ B6判／ページ数 217,／高さ 20cm
• 商品コード 9784000024846
• NDC分類 949.8
• Cコード C0098

出版社内容情報

世界一強い女の子ピッピの作者リンドグレーン．ピッピ誕生の秘話から90歳を越えてなお社会的発言を続ける彼女の生き方まで，関係者のインタビューや膨大な資料をもとにまとめた，日本ではじめての本格評伝．

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[しいたけ]

あるイベントの予習として読んだ。表紙からもうかがえるように、晩年のリンドグレーンの社会活動や発言の方に重きがある。社会の問題に異を唱えるその言葉も、ウイットに富みクスリと笑ってしまえるものに仕上げてある。皆から愛されたまま歳を重ねていった所以がここにある。リンドグレーンが書く児童書は、「実は現実逃避と自分自身へのセラピー」との解釈があるとのこと。それを念頭において読み解く読書もあるのだろう。が、私は敢えて何も考えずに楽しむことが、リンドグレーンの正しい読み方のような気がしている。

2020/01/10

[sofia]

子どものころ読書の転機となった本はリンドグレーンの『長くつ下のピッピ』だ。読んでいてわくわくし、「やかまし村」「カッレくん」など読みあさった。スウェーデンの英雄の女性の生涯、愛される児童文学の作家だけではなく、いろいろな社会問題にも意見し影響を与える人であるとわかった。子どものときにピッピに出会えてよかったと思う。大人になって読んだときには冷静に読んでいたから。

2024/11/03

[ぶんこ]

スエーデン国民から愛され、尊敬されている児童文学作家。 国中の人から、どれだけ尊敬されているのかが、じっくりと伝わってきました。 子供を愛し、子供と一緒に遊べる人。 そして、原子力廃止、図書館存続、暴力根絶と、社会問題にもユーモアを交えて訴えていく信念の人。 ノーベル文学賞には、児童書は該当しない！？ スエーデン人の悲願にもなっている受賞が出来ない問題は、驚くばかりでした。何故、児童書は駄目なのでしょう？ 文学賞ではなく、平和賞に値する方だと思いました。

2014/07/04

[シュシュ]

三瓶恵子さんによるリンドグレーンの評伝。『常識をふみこえたかと思うとさっさと戻る。良識にしたがうと思うとすっとそれをはぐらかす。優れたバランス感覚。』これが長くつ下のピッピの面白さであると納得した。子どもの頃、ピッピが好きだったのは、正にこういうことだった。子どもって自堕落にはなりたくないけれど、ちょっとはめをはずたいといつも思っている。児童文学を書いただけでなく、社会に対しても「王様は裸だ」と、ユーモアを交えながら発言していたリンドグレーン。1982年に原発は人間の破滅に結びつくものだと言っていた。→

2015/03/29

[kyoko]

わたしの読書生活の原点ともいうべき岩波書店のリンドグレーンさんのシリーズ。スウェーデンの国民的英雄であるリンドグレーンさんの生涯の紹介と、主な著作の紹介が丁寧にされている。本当に素晴らしい人だったと思う。でもわたしが大好きだった「名探偵カッレくん」についての言及がなかったことがとても残念だった。

2015/05/09