出版社内容情報
10代で詩作を放棄し,アフリカで交易活動にたずさわる後期ランボーの謎を膨大な書簡や資料によって精査し,詩人としてのあり方との連続性でとらえる評伝.新しいランボー像を提示する,読み物としても興味深い渾身のライフワーク.
内容説明
ランボーは二十歳くらいで詩から遠ざかり、以後十年間、エチオピアのハラルを拠点にして、交易活動にたずさわる。その間、アフリカ書簡といわれる膨大な書簡を残した。主に商用活動が書かれたこの書簡は、従来のランボー研究では枝葉のものと軽視されてきたが、日付や事実の虚構化、手紙相互の入れ子的な関係が見られ、多くの謎が存在する。本書では、ランボーの詩を書簡と対比し、詩と書簡を等価に読む視点から新しいランボー像を提示する。
目次
序 ゼイラー幻想
1 書簡・距離・断章
2 ハラルの写真家
3 オガディン報告
4 紅海の灼熱の岸辺
5 失われた軍隊手帳―ショア遠征(1)
6 不穏なルート―ショア遠征(2)
7 渦を巻く旅の時間―ショア遠征(3)
8 アデンのfumiste(ふざけ屋)
9 ベドウィンの暗黒の取引
10 賑やかな砂漠
11 飛脚たち
12 ゼイラーまで
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイコ
3
本書は文壇を去りアフリカで交易を始めたランボーの手紙から、ランボーの後生を読み解く本である。『イリュミナシオン』『地獄の季節』を引用しながらの著者による分析・推理は的を得てドラマチックだと思う。ハラルとアデンを行き来していたものの、長くは拠点を置かず過酷な旅を続けていたランボー。「わが放浪」こそが望んだ人生だったのか?片足を失い歩けなくなったランボーに生きる意味は?そんな人生を生きた青年が実在したこと、それ自体がおとぎ話のような、幻のような信じられない気持ちになった。2016/02/08
mooroom7
0
期待以上に凄い内容だったなあ。鈴村ランボーには、ほとんど触れたことがなかったので。ランボーの人生のすべての断面を”詩”であるとみなそうとするところから、従来無味乾燥と言われているランボーのアフリカ書簡の数々に深い意味付けをなす試み、とでも言おうか。人生全体が詩であったランボーの産みだしたやはりそれは詩であったのか。 読んでいて、おもしろく鼓舞される文章でありました。それにしても、ランボーとは、何という男だろうか。2015/06/12