出版社内容情報
ソルボンヌ大学で哲学史を講じた碩学が,プラトンの著作にはじめて接する読者のために,青年・壮年・老年期のそれぞれ特徴的な作品を選び出し,その思想の生成から成熟にいたる様相を描き出した最良の案内書.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gokkey
9
プラトンの思想の根底にあるイオニアの自然哲学から始まり、南イタリアへの旅行の際に学んだであろうピュタゴラス派の思想に関する紹介を経てプラトンの思想の変遷を追ってゆく。やはりキーとなるのはパルメニデスを著したプラトンの意図の理解か。魂→叡知→イデア、魂→感覚→感覚物(あり、かつ、ない)→(離在)→イデア、この存在のスキームを「型」と捉える視点は著者シュルのバックボーン(フランス構造主義)の影響を感じる。読まれる時代や国によって全く異なる解釈を許容する懐の深さ、これもまたプラトンの魅力なのかも知れない。2022/05/19