出版社内容情報
日本軍政はフィリピン社会をいかに変容させたのか.フィリピン社会はどのような対応を選択したのか.本書は政治・経済・社会・文化など多様な領域での精緻な分析により,「大東亜共栄圏」の実像を照射する本格的論集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
第二次大戦中、日本軍のフィリピン占領の実態を、総論、義勇兵、経済、宗教、日系人など、様々な角度から分析した論文集。フィリピンは、日本が占領した東南アジアの中でも最も反日的な姿勢を見せたが、そこにはそもそも戦前からアメリカによってガッチリ経済に組み込まれ、近代化され、独立も既に規定方針だったという事情があった。日本も、フィリピンは「南方進出のための障害物」だから攻略するという価値しか見ておらず、懐柔も難しいと理解していた。しかし、占領後の抗日ゲリラの激化で治安維持に忙殺され、悲惨な事態が待っていた。2017/01/31
晴天
0
占領下のフィリピンの軍政について、様々な切り口から、各国に残された史料を用いて紐解いていく労作。フィリピンと聞くと軍政監部の統治が拙く最終的にほとんどの住民の憎悪を買うに至ったという結論はよく聞かれるが、そこに至るまでには、当初は日本からカソリックの聖職者を動員したり、ミンダナオ島のイスラム教徒に接触したり、様々な角度からうまく軍政を敷こうと試みたことが窺える。しかし結局、そうした政策は悉く失敗し、その過程で住民が分断されるなどして多くの悲劇が生まれたことを鑑みると、非常に気が重くなる。2017/12/29




