出版社内容情報
皇女より特に選ばれて斎宮・斎院として神に捧げられた内親王という女性たち.神秘的な存在であるがゆえに,古来,和歌や物語の世界と深くかかわってきた.天武・持統時代から幕末維新まで,内親王を軸に描かれた文学史.
内容説明
選ばれた最愛の姫君にして、最高貴の女性―内親王。神に捧げられ、和歌や物語と深いかかわりをもった内親王たちを軸にして、千二百年の歴史を描く。運命を甘受しつつも、けなげに美しく生きた人々の面影をうかびあがらせる。
目次
1 激動の斎宮(斎宮とは;二上山を仰ぐ斎宮―大伯内親王;竜になった皇后―井上内親王 ほか)
2 文雅の斎院(斎院とは;幽貞の漢詩人―有智子内親王;絵本を見る尼姫宮―尊子内親王 ほか)
3 政治と愛のはざまに(院政期以後の内親王達;ただ四の宮を―篤子内親王;大器「春宮姉」―〓子内親王 ほか)
著者等紹介
岩佐美代子[イワサミヨコ]
大正15年生まれ。女子学習院高等科卒。現在、鶴見大学名誉教授
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感想・レビュー
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びっぐすとん
20
再読。著者は今年亡くなられたが、改めて読むと昭和天皇の皇女のご学友だったせいか、かなり内親王にシンパシーを持って書かれている。骨肉の争いを繰り広げていた古代は皇女の存在感も大きく、天皇、摂関家との婚姻が多い時代には少なくとも名前、生没年くらいは判る。歌才があれば鎌倉期までは消息を伝えられた皇女も南北朝以降は天皇家の衰退もあり、全くわからなくなっていく。天皇の娘でありながら幼くして仏門に入れられ親の愛も恋愛も知らず、名前も歴史に残らない。プリンセスと呼ぶには悲しすぎる身の上。高貴な生まれが幸せとは限らない。2020/06/10
りー
19
歴代の内親王方に深く心を寄せて書かれた文章で、心地よい品がありました。「Ⅰ 激動の斎宮」では、大伯皇女、井上内親王、恬子内親王、雅子内親王。「Ⅱ 文雅の斎院」では、有智子内親王、尊子内親王、選子内親王、禖子内親王、「Ⅲ 政治と愛のはざまに」では、院政期の内親王たち、篤子内親王、暲子内親王、式子内親王、南北朝期の内親王、そして皇女和宮=親子内親王を取り上げています。気品、おおらかさ、優しさ、聡明さ、いざという時に発揮されるつよさ。特に、斎院については文化の担い手としての姿を知ることができました。2020/08/01
双海(ふたみ)
13
皇女より特に選ばれて斎宮・斎院として神に捧げられた内親王という女性たち。神秘的な存在であるがゆえに、古来和歌や物語の世界と深くかかわってきていた。天武・持統時代から明治維新まで、内親王を軸に描かれた文学史ともいえる本書からは、時代や運命に翻弄されながらも気高く生きた人々の面影が浮かびあがる。2023/06/03
Pon&Aki
9
大津皇子を亡くして斎宮退下後の大伯皇女や、御霊神社に祀られた井上内親王の詳しい事情、伊勢物語の恬子内親王とお子のその後等、気になっていた事を詳しく知る事が出来ました。飛鳥から幕末までの有名な内親王が就いた職種別・時代順に細やかに紹介されており、連綿と続く全ては題名通り物語でした。とても面白かったです。文章は上品で分かり易く、直に講話を聴いているようです。終章は内親王の古来からの立場や宿命に付いて語られています。私生活の無い『公』の存在、制約が多い慣習が現代まで及んで注目される今多くの人に読んで頂きたいです2021/11/05
すももとうさぎ
9
日本史が苦手だった高校時代の私に差し入れしたい本。内親王の方々に対する著者の深い愛情をひしひしと感じながら読みました。2017/02/19