出版社内容情報
膨大な量の知られざる資料をもとに,メスメルからフロイトに至る力動精神医学の過程をたどり精神分析誕生の歴史的背景を明らかにすると同時に,フロイト思想に新たな光をあて,その独創性を浮彫りにした注目の書.
内容説明
これまで日の目を見ることのなかった膨大な量の資料を収集し、フランス精神分析学界の重鎮とその協力者が長年月かけて完成させた精神分析学成立史。メスメルからフロイトにいたる力動精神医学の過程をたどり精神分析誕生の歴史的背景を明らかにすると同時に、この背景の前にフロイトを置くことによりフロイトの独創性を浮き彫りにする。単なる精神分析学前史にとどまらず、独特の奥行きをもつ歴史批評的フロイト論となっている。フロイト思想に新たな光をあてる注目の書。
目次
第1部 対象関係(動物磁気における対象関係;催眠術の時代における対象関係;精神分析の誕生;シャルコーとフロイト)
第2部 無意識の発見(観念学派のいう自動症;磁気術師たちによる無意識の研究;無意識と心理学者たち;無意識と催眠;フロイトの発見)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PukaPuka
3
18世紀末のメスメルの動物磁気の治療まで、治療関係は宗教観念、魔術、呪術と結びついており、医学界はそれを軽蔑していた。以後、ざっくりいうと、患者との情緒的交流の取り扱いを扱わざるを得なくなり、そうすると治療者側の防衛が必要となる中で、フロイトの理論が出てきた。現代に照らすと、EBMと精神医学の脳科学化は、質の悪い治療を排除すると共に、医療者の防衛に有用であることがわかる。病態のはっきりしない患者に精神医学の診断分類はしばしば無力で、精神療法の組み立ての必要性は、本書を読むことでよりよく認識できた。2015/12/11
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