出版社内容情報
アメリカ国家安全保障局(NSA)による監視は『一九八四年』を凌ぐ不都合な真実だった。スノーデンの警告がここに。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Isamash
10
カナダクイーンズ大学の監視研究センター所長デイヴィッド・ライアン社会学教授による2015年著作の訳出。スノーデン側に立ち国家による監視の問題点、特に民主主義への悪影響など幅広い観点から論じ具体的な行動案まで提示。映画も見てNASA監視の幅広さに驚愕も著者の様な危機意識が自分に欠けていことに気付かされた。本書指摘の様にイスラム教徒というだけでの徹底的監視はいけないと思うが自分ごとに思えていなかった。だが、多様性こそ民主主義の根幹であるなら監視社会はそれを破壊し結局市民に不利益もたらす。中国の様な社会は嫌だ。2021/09/19
roughfractus02
8
ネットワークのグローバル化の中にあった2001年に『監視社会』を上梓し、民主主義社会と監視社会の親和性を訴えた著者は、2013年のこの事件をNSAとスノーデンの対決物語に終わらせないように警告する。本書はこの事件が我々の現実であり、監視社会に我々自身が参画し続けるという点に注意を促す。オーウェル『1984年』でビッグブラザーに反抗した男が最後に転向する場面を引用する著者は、我々の諦観がこの社会を作るという。本書は「安全」という標語の下、防犯カメラや携帯電話への監視側の介入に眼を瞑る我々の意識に訴えかける。2018/04/23
GASHOW
8
スノーデンによって、世界各国の首脳の電話が盗聴されていたことがわかり国際問題となった。米国の愛国者法では、アメリカ人以外の盗聴は合法とされる。インターネットを利用したあらゆるメタデータを全て収集している。キャリアの回線の根元から全ての通信を全録している。そのあたりの具体的なことは「フューチャークライム」あたりに詳しく載っている。世界の政府はインターネットで国民の情報取得をしている。監視社会ははじまっている。ビックデータと人工知能で防犯が進めれている、彼ら予測で証拠もなく犯罪者にされる時代はすぐそこに。2016/07/01
チャー
7
タイトルとなった暴露事件は有名だが、そこに関連したあらゆる場面で個人情報が曝されている危険な状況を分析している。高性能なセンサーを常に持ち歩き知らず知らず情報を開示してしまう現代は、便利さの影に潜む危険性にも十分注意しなければならない。大量のデータの一部としての利用に留まらず、機械的に分類されることで間違った推測なされる面については恐怖を感じた。防犯と監視は紙一重であり、立場によって使い分けられることも。過度な監視はときに萎縮を招き発言する意思を弱めてしまう。反面、過度な不干渉も困る。バランスが難しい。2020/06/29
西澤 隆
5
スノーデンのリークであらためて明らかになった「要るか要らないかはあとで決める。とりあえず全部集めておく」時代の解説と警句の本。「全員」の電話の通話記録があってもそれを人が解析するなら手に負えない量だから極論すれば「有益なデータ」ではない。でもAIが勝手に解析して交友関係を自動的に洗い出しさらに他の情報とつないで交友図を作るのであれば…。「写真をSNSに載せたらタグ付け提案される」の全自動全行動データ対象版といえば想像できるはず。状況に法や仕組みが追いついてない。今後僕らはどう対応していくべきか考えなきゃ。2017/02/20