出版社内容情報
公開されたアルヒーフ文書(党中央委員会総会速記録,同政治局会議議事録など)に基づき,30年代の複雑な政治過程,トップ・レベルの政策決定,および政治社会の周辺における国民統合のありようを,総合的に分析する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
4
遠目には「全体主義」という雑な見え方しかしないスターリン体制を、思い切り近くから精緻に分析した一冊。かなりの歯ごたえだが、党と行政機構の関係やスターリン周辺のエリート層(「インスターツィヤ」)による権力独占の実態など、様々な発見がある。苛烈な独裁体制の成立とソ連の国力強化が同時並行的に進んだ1930年代に的を絞っているという点も重要。いろいろな意味で、ソ連にとって分岐点となる時代だった。2022/10/10
Fumitaka
2
30年代のソ連の外政・内政の政策決定、また憲法や家族政策、スタハーノフ運動、当事者たちの反応に言及しつつ、当時のソヴィエト期ロシア史を概説。スターリンの執務室における非公式の会議などは、コトキンが彼のスターリン伝第二巻で記述した、スターリン指導部が「独裁者(dictator)」から「専制君主(despot)」へと変容していく過程を呈示していただけた("Stalin: waiting for Hitler", p. 386)。離婚や中絶とかの箇所が富田先生も書かれている通り色々な反応が見れて面白かったです。2021/06/06
Масакун(masakun)
0
1930年代のソビエト側の政策決定と国内問題ついて書かれた一作です