内容説明
日本人の記憶に深く刻まれた、520人の生命を一瞬にして奪ったあの大事故。当時、最前線で全遺体の身元確認にあたった著者が、やむにやまれぬ思いで、大事故の裏に現存する、人々の知られざるその後を追跡。落下する機中で書き残された遺書が遺された家族の中に生きているさま、ひとり息子を失った母のやり直し人生…極限の惨状を共有した者だけに語られる心の叫び、魂の声がここにある。
目次
第1章 遺族たち(第一発見者の思い;炎上をまぬがれた遺書 ほか)
第2章 生存者たち(御巣鷹山のある村;事故発生時の態勢 ほか)
第3章 自衛隊員たち(もっとも凄惨で苛酷な現場;第一空挺団、出動 ほか)
第4章 医師、看護師たち(生存者が移送されてくる;四人を病院に収容するまで ほか)
第5章 葬送のとき(葬儀屋は、見た;警察から「棺桶は何本あるか」 ほか)
著者等紹介
飯塚訓[イイズカサトシ]
1937年、群馬県に生まれる。日本大学法学部を卒業。1960年、群馬県警察官として採用され、以後、警察本部課長、警察署長、警察学校長等を歴任。1985年、高崎署刑事官在職時に、日航機墜落事故が発生、身元確認班長に。1996年、退官
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
163
『墜落遺体』のその後的な部分も描かれている本作もまた感動の一言では言い表せない一冊でした。「遺族」「生存者」「自衛隊員」「医師・看護師」「葬儀屋」それぞれの視点から語られており、改めて当時の知られざる状況が明かされています。やはり涙なくしては読めないのは「医師・看護師」が四人の生存者を救う章で、とにかく人の生命を救うために必死で'戦う'彼らの姿には涙が止まりませんでした。しかし、全体を通して随所に書かれている'役所'たる姿勢や対応には憤りを隠せずにはいられませんでした。もっと多くの生命を救えたのでは?と。2019/08/14
モルク
106
1985年8月12日午後6時56分羽田発大阪行日本航空123便は群馬県御巣鷹山の尾根に墜落、乗客乗員520名の命を奪った。死を目前とした恐怖と絶望の30分はあまりにも残酷すぎる。家族を思い、神に祈り…幸運にも焼け残ったメモ帳に記された遺書、短い文の中にも想いは伝わる。それを手にした遺族、遺された人のそれぞれの日々。そしてたった4人の生存者と救護にあたった自衛隊、医師、看護師たち。さらに、残る多くの遺体、検屍…悲惨極まりないが努力してくれた人々に頭が下がる。そして今日、またその日を迎えた。私は忘れない。2022/08/12
はつばあば
68
31年前の今の時間なら彼らは生きていた。まさか愛する人との別れが待ってるなど想いもしなかっただろう。遺された家族は、タイムスリップ出来るものなら声高にその飛行機に乗るな!と声が嗄れるまで叫んだろう。今日ユーチュブでは15年後に出た映像が沢山出ている。この本を読んで涙・映像を見て又涙。いろいろな陰謀説もあるが、スクープをモノにしたい記者魂もわからんでもないが、ハイエナだ。日航社員とそしりを受けようが人の心に寄り添ってこられたからこそ末永く遺族の方々との付き合いもあった。2016/08/12
GAKU
57
先日読んだ「墜落遺体」の著者が書いた続編的作品。「墜落遺体」では遺体身元確認の責任者として従事した、悲惨な現場に関する記述が殆どであった。こちらは被害者、被害者家族のその後を追った「遺族たち」、「生存者たち」、実際の現場に立ち会った「自衛隊員たち」、「医師、看護婦たち」、「葬送のとき」の5章からなっている。それぞれの観点からあらためて事故の悲惨さが浮き彫りにされている。是非「墜落遺体」と合わせて読まれることをお薦めしたいです。2016/07/24
舞
50
読み進めるのが辛かったです。やっぱり。 ご飯どきには読めません。 遺体に関するリアルな証言もあります。衝撃的な出来事です。それぞれの立場で残る思いがありますね。忘れてはいけない出来事です。2018/11/02
-
- 電子書籍
- マンガでわかる! 法律の抜け穴 (15…