出版社内容情報
近世思想史の巨峰3人に東涯を加えて、それぞれの学説の形成を論じ、通貫する思想的特質と方法論の発展を考察する。<初版1975年>
内容説明
本書は、著者の伊藤仁斎東涯父子、荻生徂徠、本居宣長、これら三家の学説と思想についての、数篇の論文を集成したものである。
目次
仁斎東涯学案
伊藤東涯
徂徠学案
民族主義者としての徂徠
日本的思想家としての徂徠
本居宣長の思想
本居宣長―世界的日本人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
15
「真理は人を離れて存在しない」と言いきった仁斎は武を否定し、師弟間で自由な討論を行った。そういう反体制的な門に三千人の聴講者が集まった所を見ると、幕府の官学保護も緩やかだったようだ。徂徠は吉保の下で朱子学を講じていた頃から、秘かに疑義を暖め仁斎に手紙を出している。晩年、野に下り、まさに「五十而知天命」で己の為すべきことをまっすぐに追究した。やや牽強付会な所はあるものの、古文辞の研究から儒学を日本人として考え抜いた功績はすばらしい。そして仁斎・徂徠の政治学を、宣長の神話学や古典学が継いでいくのが面白かった。2013/07/15
きさらぎ
2
仁斎の漢文はリズムがあり江戸時代きっての名文で本場中国人にも劣らない、東涯の本は今日でも中国の学問を志す人は早い内に読むべき、宣長の学問の方法は自分が信じるそれと同じで千の味方を得た思い、と語る著者なのだが、それだけに間に挟まれた形で「彼らほど親しんでいない」という徂徠は割食ってるな。徂徠が余りにも牽強付会甚だしい学者として描かれていて正直途中でやめようとも思ったが、最後まで読めばやはりその人物が立ち上がってくるので通読してよかったと思う。仁斎・東涯の安定感はないが、何となく愛すべき人とみた。2015/05/12
ぺぺ
0
国学大系2008/05/21
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