出版社内容情報
日露戦争を描いた世界的ベストセラー
難攻不落の要塞といわれた旅順口。ここに乃木希典大将率いる大日本帝国陸軍第三軍は、ステッセル司令官率いる強大国ロシア軍と壮烈な攻防戦を繰り広げた。本書は、旅順要塞をめぐる日露両軍の激戦の模様を克明に伝えるほか、惨劇を極める戦場の極限状態にあって、なお部下や戦友の安否を気づかい、家族を想う兵士達の姿を感動的に描く。
英国・米国・フランス・ドイツ・ロシア・中国など、世界十五カ国で翻訳出版された戦争文学の世界的ベストセラーを完全復刊。
【著者紹介】 櫻井忠温 (さくらい ただよし)
明治十二(1979)年六月十一日、愛媛県松山市に生まれる。陸軍士官学校卒業。松山の連隊旗手として日露戦争に出征。乃木将軍配下、旅順攻防戦で重傷を負う。帰還後、実戦記録『肉弾』を刊行。戦記文学の先駆けとして大ベストセラーとなり、英国、米国、ドイツ、フランス、ロシア、中国など十五カ国に翻訳紹介される。大正十四年以降陸軍省新聞班長を務め、昭和五年、陸軍少将で退役。『銃後』、『草に祈る』、『黒煉瓦の家』、『煙幕』などのほか、自伝『哀しきものの記録』がある。昭和四十(1955)年九月十七日没。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
長谷川透
18
三国干渉の果てに失った旅順。大国を相手に「旅順を奪還せよ」をスローガンに掲げ日本軍は大陸へと出発する。著者自身の経験に基づき書かれた小説で、戦場を舞台にした小説であるが、序盤は恐ろしいくらい現実感がない。英霊たちの流した血を忘れるな、皇軍前進すべし。肥大化した精神だけが表面化し、肉体はまるで大陸にはないようだ。ところが、旅順攻囲戦に突入すると臨場感が増す。血で血を洗う血生臭さ、肉片が飛び、死屍が溢れ、生者の声は次の瞬間に死者の沈黙に変わる。それでも皇軍は突き進む。彼らは撤退を知らず、朽ちるまで戦い続ける。2013/01/29
tada shohei
3
★5 著者である桜井中尉の入隊から旅順第一次総攻撃までのお話、つまり日露戦争です。読むの大変です、100年で日本語がこんなに変わるのか、という感じ。今よりも色濃い日本人の精神が、エネルギッシュな文体で表現されています、素敵です。2013/02/17
nakaji47
2
日露戦争100周年で買っておいたもので、ようやく読めました。2009/01/05