出版社内容情報
首都圏に大異変発生! 都心を中心に、半径三十キロ、高さ千メートルにもなる正体不明の巨大な“雲”が突如発生、通信・電波・交通などあらゆる連絡手段が途絶されてしまったというのだ。中に閉じこめられた人々は無事なのか? そして政府はどうなってしまったのか? 国家中枢を完全に失ってしまった日本の混迷を描く、日本SF大賞受賞のパニック巨編。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
この作品は未読でした。日本沈没で日本人がユダヤ人のような状況に陥ったことを語ってくれたことに比べると地味な感じですが、ある意味書かれた時代などを考えると素晴らしいシミュレーション小説であると思います。東京直下地震やある国からのミサイル攻撃によって東京がなくなってしまった状況でほかの日本人がどのような行動をとっていくかを考えていくうえで参考になります。上巻はとりあえず自衛隊などや米国との連携が出てきそうです。2024/02/11
ntahima
34
『日本沈没』の著者が今度は東京を消してみせた。S・キングの『アンダー・ザ・ドーム』みたいな設定だが初出はこちらの方が遥かに早い。テーマは2つ。謎の雲海の正体を科学的に解明してみせることと、突然、日本列島から首都機能が消失した場合にどうなるかというシミュレーション。上巻は状況設定ということで話がなかなか進まない。東京抜きの話なので地方色を出す為か、登場人物が方言を使う場面が強調されており、なんか笑える。30年前の本なので出てくる先端技術が今の目で見れば単なるOA機器でありSF的な雰囲気はあまり感じられない。2015/05/31
イプシロン
14
首都消失とは、個人を半ば無意識に従わせ動かしている最大の環境要因の消失である。そう考えながら読み進めると実に恐ろしい。外圧という環境要因がないと自立しえなかった幕末と、国際社会の圧力なしでは自立しえない現代日本を対比し「変ってないな」と登場人物にボヤかせるあたりは、小松左京の皮肉でもあり機知でもあるのだろう。今では当たり前のHD映像やネットワーク会議を予見しており、そうした技術が諜報戦に使われるとも言っている――スノーデン事件が実例。初出は1983年。小松左京の先見眼はやはり凄かったんだと実感。2014/08/15
秋庭誠
7
D 突然首都圏を中心として「雲」が発生し、その中に何も入ることができない緊急事態が発生する___小松左京の得意なパニックSFモノ。日本はもとより関係各国の動向も気になる。だってアメリカ軍のある横須賀も「雲」に入ったから。アメリカ怒らせたらどうするんだろ。「核、核を使う」 相当風呂敷広げた感があるけれど、下巻でどういう風にしめるつもりなんだろうか。2012/04/13
✯ Ria ✯
6
パニック系かと思いきや、シミュレーション小説。首都と一切の接触を切断される。なかなかスケールの大きいテーマ。とっても面白かった.......のも序盤の方だけで、一般人にスポットを当てず自衛隊やマスコミ、政治家たちの話し合いで話が進んでいくので、設定などが綿密すぎ、私の小さな脳は置いてけぼりをくらいました。2019/04/15