内容説明
みさと町立図書館分館に勤める遥は、33歳独身の実家暮らし。遥が持参する父お手製の弁当に、岡部主査はいつも手を伸ばし、くすねていく。人事異動でやってきた彼は、図書整理もできないネットサーファー(死語)で砂糖中毒だ。本の貸借トラブル&クレーム対処をはじめ、家庭内の愚痴聞きや遺失物捜索など色々ある“図書館業務”は、ままならないことが多い。でも小さな町の図書館分館では、訪れる人たちの生活が感じられる。理解もできる。だから、ここではちょっと優しくなれるのだ。いなかの図書館を舞台に描かれる、小さな町のハートフル・ストーリー。
著者等紹介
〓森美由紀[タカモリミユキ]
1980年生。派遣社員。青森県出身。著作に『ジャパン・ディグニティ』(第1回暮らしの小説大賞受賞/産業編集センター)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
194
いいなぁ、こういうほのぼのした作品。東北の図書館分館で働く33歳独身「遥」さんは母を亡くし、父と二人で実家暮らし。同じく分館で勤務する「岡部」さんと「香山」さんの二人の先輩と働いています。図書館を舞台にしながらも、そんなに図書館要素はあまり書かれていませんが、主人公を取り巻くキャラそれぞれがなかなか個性的で楽しませてくれます。特に大きな波がある作品では降りませんが、ごくフツーの日常感がかえって新鮮で、リラックスして読めます。イライラもしますが、全体的にはホワッとほっこりさせてもらえるステキな作品でした。2017/11/23
ナイスネイチャ
176
図書館本。図書館分室に勤める33歳独身女性が主人公。図書館が舞台ではなく、父と娘が亡くなった母への悲しみから立ち上がろうとするお話でした。切ない感じが終始ありハートフルなイメージを勝手にしてたのでちょっと印象薄かったかな。すいません。2017/11/23
けんとまん1007
135
途中から思ったこと。タイトルの意味するものは・・・だ。まあ、それはそれとして、これが今の時代なのかなあ~ということ。漠然と感じていることが表現されていると思う。サービスという言葉が、独り歩きし、勝手に解釈する人たちが増えてきていると感じている。その延長線上で考えると、こんな物語にもなるのかもしれない。それと、家族の意味するものも考えた。あとは、言葉。方言の人肌感というのか、温もりというのか、そこから伝わるもの。この意義は大きいと思う。2018/01/07
おくちゃん☃️柳緑花紅
110
献本当選された読友さんからのお借り本。良い本読んだなぁって思うと同時に自分の大人になりきれていない、他人様に対しての対応の冷たさ、思いやりのない態度に反省を越えて落ち込んだ。言ってしまった言葉は消せないけれど気が付いたなら改めていこう。義母の家の大量のものたちは、義母の歴史そのものなんだ。捨てましょうなんて簡単に言ってしまう軽率さに反省しきりだ。【ころんで ないて はらへって このよはそれほど わるくない】2018/01/19
ダミアン4号
109
少子高齢化が進む町の図書館に勤める主人公の日常…図書館には足繁く通っているのですが平日の昼間の様子は知る由もなく…実際、こんな雰囲気なのかも知れません(笑)大切な人を失ってしまうと…色んな方法で穴埋めをしないと人生の残された時間を上手くこなしていく事が出来ないのかも知れないなぁ…主人公“遥”のお父さんは料理に出会えて本当、良かったと思います。色々“謎”の物体が仕舞い込まれた冷蔵庫…わかる様な気がします。私も時折、冷凍庫を覗いては「これ…要らんよなぁ」と捨てては叱られているので…想い出もそれとわかる形で冷凍2018/02/19