内容説明
近代化の波のなか、民俗社会の危機的な状況に浮上したさまざまな事件―血税一揆、トラホーム、狐憑き、座敷牢などを軸として、変容する民衆の心性・コスモロジーと、それが国家による「死の共同体」へと統合されていく過程を透視する転換期の精神史。
目次
1 “迷信”と感情教育(「血税一揆」の民俗的心性;トラホームと感情教育)
2 狐憑きから「脳病」「神経病」へ(狐憑きの民俗;精神医学の狐憑きへの視線;「脳病」「神経病」のイデオロギー)
3 座敷牢と幻視する霊魂(座敷牢の生産;狐憑きから妄想へ;出口なおの近代/日常性批判)
4 近代日本と霊魂の行方(位牌の漂泊;霊魂の近代)
著者等紹介
川村邦光[カワムラクニミツ]
1950年生まれ。大阪大学教授。専攻は宗教学・近代文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れどれ
3
近代においての「迷信」の立ち位置、その扱われ方を明示した上で、以降どのように解体されていったかをあの手この手で教えてくれる。精神病や障害にあたる病もそれに付随して語られ、医学や教育のありかたがどのように変遷していったかの一面もうかがい知れる。眼にまつわる病が現代よりずっと多く身近でそれだけに深刻であり、目薬を契機に事態が改善していくくだりなど興味深く読んだ。2025/02/25
ア
2
「幻視する近代空間」って何度見てもカッコイイ日本語2019/06/10
ルートビッチ先輩
2
日本に「近代」が発生するときに起きた「迷信」の排除について。迷信は西洋から異物・異人が流入してくることによって、それらとの差異として作り出された。そして作り出された後、教育的な言説、医学的(分析的)な言説によって、排除されていく。例えば狐憑きは狐という霊的な存在の力によるものではなく、内在的な特性に原因を求められるようになる。「脳」も「誕生」する。そしてこれは内と外という判断を作り出し、ナショナリスティックな欲望とも結託していく。柳田国男が「家」、「祖先」を希求したこととこの動きとの違いは捉えられるか?2014/12/04
しぼ
2
「座敷牢」に関する文献が欲しくて読んだのだが、予想外の収穫があった。近代がどうやって「迷信」を抹消しようとしたか、また霊魂をどう扱おうとしたのか。中でも最大の収穫は芦原将軍という人物を知れたことだろう。彼のようなユニークな人物が存在したことを寡聞にして知らなかった。彼を扱った作品などあれば、是非読んでみたいものである。2012/09/03
いすか
1
近代がどのようにかつての風習などを「迷信」と名付けて退けたかや、精神的な病をどのように考えて対処してきたかなどがが書かれており、興味深かった。 座敷牢への監禁が「推奨」されていた行為だったとは知らなんだ。2014/08/04
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