内容説明
「男はつらいよ」シリーズの子役だった「私」が27年の歳月を経て、当時の話を伊豆の温泉宿で「美保純」とする。「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏「大衆的な紋切り型を文学的技法として使った懐かしい雰囲気」─沼野光義氏、など絶賛され山田洋次監督も共感した、独創的“寅さん小説”。表題作の他、「かまち」「泥棒」の3作を収録。野間文芸新人賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
37
今、自分の寅さん愛が燃え盛っていることが逆にこの小説を読む上で邪魔になった感。寅さんの物語の中の世界と外の世界の間をたゆたうように行ったり来たりするのが、寅さんワールドにどっぷりはまりたい私からすると物足りない。中なら中、外なら外、はっきりしてもらいたい。とはいえ寅さんフリークの作者さんならではの蘊蓄や空気感はとても良くて、特に美保純が語る家出した時に迎えに来たのが寅さんだったという話にはじーん…。今寅さん映画を順番に見ている最中なので半分ぐらい見たところでまた読み直したい。2020/02/17
torami
27
寅さんのことは何も知らないので、まず相関図をクグってから読み始めた。美保純の顔すら知らなかったものですから。 メタとフィクションが混在する語り口は軽快でそれなりに楽しめた。ただ、やっぱり寅さんを知らないのでは厳しいかなぁ。2019/05/04
かば
16
本来現実の支配者であるべき「語り手や主語、時間の同一連続性」というルールを曖昧なままにして物語が進んでいく感覚はやはり新鮮である。2019/01/04
Our Homeisland
14
滝口作品5冊目。少し長めの表題作の短編と、二編から成る連作短編という構成でした。連作短編の二編の方も出てくる人物など、なかなか面白かったです。表題作は寅さんをめぐる話で、人車鉄道というのは初めて知りました。別の本では、「蒲田行進曲」も取り上げていたので、映画も好きな作家なのだと思います。著者は会ったことがない親戚(はとこ)です。滝口氏の伯父にあたる人からは、前から、「八丈島に遊びに来い。」と行ってもらっているので、今度行ってみたいです。いずれ滝口氏にもお会いできれば良いなと思います。2019/07/26
イシザル
12
寅さんは、葛飾柴又の「とらや」があるから、あれ以上堕ちなかった……みんなそれが解ってるのにみんな言わないからみんな甘いんだよなー。「意識の流れ」を使って日本独自のサブカルチャーを、お題に、マドンナを「美保純」に代えるとは。なかなか。「渥美清」愛が詰まってる。例えるなら、ピンチョンみたいで、日本文学もここまできたか。2021/05/21
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