わがユダヤ・ドイツ・ポーランド―マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝

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  • サイズ B6判/ページ数 503p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784760122035
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C0098

出版社内容情報

ポーランドに生まれたユダヤ人としてワルシャワ・ゲットーを生き延び、戦後はドイツで最も著名な文芸評論家として活躍を続けるライヒ=ラニツキ。本書は、苦難の生を強いたドイツを憎みながらも、ドイツ文学への深い愛情を率直に表明する彼の、波乱に満ちた自伝であり、同時代史の証言である。本書で展開されるブレヒト、ハインリヒ・ベル、ギュンター・グラスその他数多くの作家との交流史は、そのまま戦後ドイツ文学史となっている。各紙誌が絶賛したドイツの大ベストセラー。

▼ マルセル・ライヒ=ラニツキ=1920年生まれ。戦後西ドイツに移住し、『ツァイト』『フランクフルター・アルゲマイネ』等の有力紙を舞台に文芸評論家として頭角を現す。TV番組「文学カルテット」(1988
2001年)では文学作品を広く一般に紹介した。邦訳には、彼の編集による全三巻のアンソロジー『狂信の時代・ドイツ作品集』(学芸書林、1969年)がある。

第一部1920-38年
 あなたはいったい何者?
 文学に開眼するまで
 魂に役立つケストナー
 文書を敬う民
 成果のあがらなかった人種学
 いくつかの恋物語がいっぺんに
 逃避に打ってつけの劇場
 うれしい悩ましさ
 次の間へ通じるドアー
 見えない手荷物をたずさえて
第二部1938-44年
 ポーランド詩と開戦と
 気ばらしはユダヤ人狩り
 死者とその娘
 伝染病封鎖区域からゲットーへ
 道化のセリフ
 音楽が愛の糧であるならば
 ウィンナ・ワルツをバックに死刑宣告
 インテリ・殉教者・ヒーロー
 真新しい鞭
 秩序・衛生・紀律
 ボレクに聞かせた物語
第三部1944-58年
 最初にして最後の発砲
 ライヒからラニツキヘ
 ブレヒト、ゼーガース、フーヘルほか
 ヨーゼフ・K、スターリン、H・ベル
 研修旅行のてんまつ
 口ひげのすごい若者
第四部1958-73年
 ドイツ人と認められ
 「グルッペ47」とそのファーストレディ
 ヴァルター・イエンスあるいは友情論
 生き甲斐としての文学
 カネッティ、アドルノ、ベルンハルトほか
 火薬工場と計算機
 第五部1973-99年
 いかがわしい主賓
 詩作に通路を
 執務時間中だけ天才
 魔術師の家族
 マックス・フリッシュあるいはヨーロッパ文学そのもの
 メニュインと「文学カルテット」
 フェスト、ヴァルザーと「禁猟期の終り」問題
 夢だわ…
謝辞
略年譜・著作目録
訳者あとがき
人名索引

内容説明

ナチスのユダヤ人迫害政策は、ドイツ文学を愛してやまない青年をもゲットーへと狩り立てる。大学教育を受けられずに独学でドイツ文学の素養を身につけたユダヤ人青年は、脱走・潜伏を経て辿り着いた戦後ポーランドが、共産主義体制による新たな圧政でしかないことに絶望する。祖国を棄て、自分を育んでくれたドイツ文学の地へ。ブレヒト、ハインリヒ・ベル、ギュンター・グラスら数多くの作家とわたりあい、ドイツで最も影響力をもつにいたった文芸評家の圧巻の自伝。

目次

第1部 一九二〇‐三八年
第2部 一九三八‐四四年
第3部 一九四四‐五八年
第4部 一九五八‐七三年
第5部 一九七三‐九九年

著者等紹介

ライヒ=ラニツキ,マルセル[ライヒラニツキ,マルセル][Reich‐Ranicki,Marcel]
1920年ポーランドのヴウォツワヴェクに生まれる(両親ともユダヤ人)。38年ベルリンのフィヒテ・ギムナジウムを卒業。同年ポーランドへ強制送還され、やがてワルシャワ・ゲットーに閉じこめられるが、43年からくも脱走。15ヵ月間潜伏して終戦を迎える。戦後はポーランド政府の情報機関で活動したものの、解任・失職。51年フリーの批評家となる。58年西ドイツへ出国し、たちまち頭角をあらわす。63‐73年『ツァイト』紙の専任批評家、73‐88年『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の文芸デスクをつとめる。かたわらラジオ番組「文学カフェ」、テレビ番組「文学カルテット」を長らく主宰し、現代ドイツきっての批評家として絶大な信用を得るにいたる

西川賢一[ニシカワケンイチ]
1942年中国の済南に生まれる。66年東京外国語大学ドイツ語科を卒業。出版社勤務をへて、現在フリーのゲルマニスト、翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kerberos

1
ドイツでは超有名な批評家だった人物の自伝。マライ・メントライン(職業「ドイツ人」を自称する女性。テレビコメンテーター、プロデューサー。博識のデーブ・スペクターをもっともっと教養豊かにした感じ)がネットのインタビュー記事で言及していた。トーマス・マンやギュンター・グラスとの因縁など興味深いエピソードが満載。日本で言えばビートたけしのような存在と、メントラインさんは言う。なるほど、過去の人ではある。2021/08/15

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