内容説明
山の侘び寺で穏やかな生活を送っている白雀尼にはかつて、真島隼人という慕い人がいた。が、隼人の四年余りの江戸遊学が二人の運命を狂わせる…。心に秘やかな思いを抱えて生きる女性の意地と優しさ、人生の深淵を描く表題作ほか、武家社会に生きる人間のやるせなさ、愛しさが静かに強く胸を打つ全五篇。前作『鷺の墓』で「時代小説の超新星の登場」であると森村誠一氏に絶賛された著者による傑作時代小説シリーズ、第二弾。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイプ
10
「鷺の墓」に続く時代小説シリーズの第二弾。表題作の雀のお宿、自分の決意を最後まで貫き通した一人の女性の凛とした姿が読んでいて辛かった。短編なんだけれどその向こうにある彼女の心を思いながら読み進め長編を読み終えたような読後感でした。シリーズは「花あらし」に続くようです。2015/09/21
Totchang
9
この作家の作品は読んで心が落ち着く。5篇の短編が収められて、主人公はそれぞれに悲しいのだが心の平安を獲得する。保坂市之進は前作「鷺の墓」でも活躍しており、このストーリーを改めてシリーズとして整理してほしいと感じた。2021/07/27
たーくん
8
山の侘び寺で穏やかな生活を送っている白雀尼にはかつて、真島隼人という慕い人がいた。が、隼人の四年余りの江戸遊学が二人の運命を狂わせる…。心に秘やかな思いを抱えて生きる女性の意地と優しさ、人生の深淵を描く表題作ほか、武家社会に生きる人間のやるせなさ、愛しさが静かに強く胸を打つ全五篇。『鷺の墓』に続く傑作時代小説シリーズ、第二弾。 2017/08/14
山内正
3
権現様の鳥居に、通り過ぎようとしたらこの赤ん坊笑いよった抱いた産着に紙切れが 末松お頼みもうしますと 白雀尼はこの赤ん坊どうしようと 村役が暫く預かって貰えまいかと そう言えば鱗太郎はどうしてるかと 思い起こす 十五年になるかと 桐葉と名乗った娘は隼人の江戸からの帰りを待ち切れず瀬戸でニ年暮す 津山の実家から母が死んだと 津山では妹と隼人が世帯を持っていた 子供は鱗太郎と名で 産後の身体が良くならず三年して死に、人の便りで紫雀尼を村に訪ねた 雀のお宿かね、村人は笑う 三年し鱗太郎が元服したと ふと笑い出す2020/07/11
Terumi
1
◎2015/05/09