出版社内容情報
民族構成、また民族間関係もその国ごとの特殊性をもつ現在56ケ国あるアフリカ諸国。そのアフリカの共存とネオ・エスノセントリズムの関係に注目し、1980年以降深刻化した国家政治と国境を越えて展開する民族間関係を、各国や各地域の研究に基づき分析。
第一部 紛争と多様化する民族関係
砂漠化と民族紛争の背後にあるもの[嶋田義仁]
セネガル・モーリタニア紛争をめぐる民族間関係[三島禎子]
民族自治体制下における民族間関係[栗本英世]
アサンテとエヴェの民族関係[阿久津昌三]ほか
第二部 共存と伝統を超えた民族関係
地域社会における共生の論理[寺嶋秀明]
民族の共存・交流のかたち[赤阪賢]
移動からみたダンスの交流[栗田和明]
文化闘争としての音楽[竹沢尚一郎]ほか
第三部 儀礼と越境する民族関係
仮面儀礼に表象される隣国人[佐々木重洋]
イニシエーションの現在とアイデンティティ[小馬徹]
託宣に刻印された民族接触の記憶[吉田憲司]
キブ湖周辺諸民族における社会変動と文化英雄[末原達郎]ほか
内容説明
本書は、国立民族学博物館の共同研究「独立後のアフリカにおける国家政治と民族関係の総合的研究―共存の伝統とネオ・エスノセントリズムの関係」の成果報告の一部である。この共同研究は編者の和田正平が組織し、一九九四年四月から一九九八年三月までの四年間にわたっておこなわれた。
目次
第1部 紛争と多様化する民族関係(砂漠化と民族紛争の背後にあるもの―マリ国の場合;セネガル・モーリタニア紛争をめぐる民族間関係;民族自治体制下における民族間関係―エチオピア・ガンベラ地方における紛争 ほか)
第2部 共存と伝統を超えた民族関係(地域社会における共生の論理―熱帯多雨林と外部世界の交渉史より;民族の共存・交流のかたち―一九七〇年代、コンゴ(旧ザイール)東部における多言語併用の動態から
移動からみたダンスの交流 ほか)
第3部 儀礼と越境する民族関係(仮面儀礼に表象される隣国人―カメルーン・ナイジェリア国境地域の事例から;イニシエーションの現在とアイデンティティ―キプシギスの場合;託宣に刻印された民族接触の記憶―ズィオン聖霊教会の現在 ほか)
著者等紹介
和田正平[ワダショウヘイ]
1937年札幌市に生まれる。1962年北海道大学大学院修士課程修了。帯広畜産大学、静岡女子大学助教授を経て、1975年国立民族学博物館助教授。1988年同館教授。1998年同館辞任。現在、甲子園大学人間文化学部教授。国立民族学博物館名誉教授
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