内容説明
『偐柴田舎源氏』によって一世に高名を馳せた旗本戯作者。江戸城大奥を写したものとされて、天保の改革に伴う筆禍事件を惹記し、失意のうちに生涯の幕を閉じる。流行作家としての人気の絶頂と転落―本書は綿密な史料操作とその全作品批判とをあやなして、従来殆どなされなかった種彦伝を見事に構成する異色作である。
目次
第1 生いたち
第2 青年期
第3 処女作時代
第4 文界進出
第5 流行作家時代
第6 『偐柴田舎源氏』
第7 その死
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
10
偽紫田舎源氏は未読だが、荷風初期作「散柳窓夕栄」の主人公柳亭種彦に関心は払っていた。その積読本。一応中の下クラスの旗本の家を本人は若くして継ぐ。お目見えにも与っている。若年から学才文才があり、詩歌等学芸に親しみ次いで唐衣橘洲の狂歌の門に入ったのを契機に文学熱が昂ずる。以降読本洒落本は芽が出ず、文化年間に隆盛となった合巻で成功する。田舎源氏で十数年に渡り絶大な人気を得た作者を、凄まじい天保改革の嵐が当然の如く見舞ったが、本書はその様を妥当な解釈で説く。私は文学的には馬琴に親しんだが、彼の執拗さには辟易する。2026/09/07




