内容説明
一茶の作品のおもしろさは、芭蕉以上に現代に近い点にある。古典や「風流」に寄りかからず、伝統的あるいは、貴族的な美を否定し、かわりに現実に生きるものへの愛を描いた。特に小さな動・植物や弱者への愛をうたい、権力者を批判した。上嶋鬼貫、広瀬惟然、一茶、種田山頭火、尾崎放哉―このような異端的な革新者たちは、俳諧の低迷した過渡期に現われるのである。一茶は「言語の雅俗より心の誠をこそのぶべけれ」と唱え、形より心、形式より無為を尊重した。親鸞に傾倒し、師弟の上下関係まで否定している。本書は、そのような一茶の生涯の軌跡と著作をなるべく平易に叙述したものだが、従来一茶の伝記では触れられなかった新出資料を可能なかぎりとりいれた。
目次
評伝(幼少年期;研修期;西国漂遊;江戸での活動 ほか)
一茶の著作・作品(初学期;寛政句帖;たびしうゐ(旅拾遺)
さらば笠 ほか)
著者等紹介
矢羽勝幸[ヤバカツユキ]
昭和20年3月25日、長野県東御市西海野に出生。国学院大学文学部卒業。現在、二松学舎大学文学部教授。俳文学会委員、俳人協会員。長野県上田市在住
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