平凡社新書
ノモンハン事件―機密文書「検閲月報」が明かす虚実

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582854831
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0221

内容説明

ノモンハンの虚実入りまじった事件像は、どのようにして輪郭が作られたか―。当時の新聞報道、郵便検閲の実態、作戦当事者の手記、回想記などを検証し、七〇年前の事件が今に問いかける意味を考える。発掘された関東憲兵隊の検閲資料から、あぶり出される事件の真相。

目次

序章 最果ての地ノモンハン
第1章 国境紛争の歴史
第2章 ノモンハン事件戦史
第3章 検閲から見るノモンハン事件
第4章 一人歩きしていく事件の虚像
終章 事件があらためて問いかけるもの

著者等紹介

小林英夫[コバヤシヒデオ]
1943年東京都生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授(専攻は日本近現代経済史、アジア経済論、植民地経済史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

20
ベテラン研究者によるコンパクトな概説書。戦闘の概要は過不足なくまとまっており、この戦いについてあらましを知るには最適。しかし本書の価値は新聞や手記、絵画などが戦争の虚像を作っていく過程と、著者の研究対象である「検閲月報」に残された兵士達の手紙から戦争の実相を検証すると同時に、検閲という行為によってそれらが隠され葬り去られたことを明らかにしている部分だ。国民に真実を伝えないことが、真実と虚像の大きな乖離に繋がり、やがてその虚像に真実を隠した側までが幻惑されるという、当時の軍の最大の誤りの端緒がここにある。2017/06/14

うたまる

2
「新聞だけを読んでいたのではこの事件の顛末は読めない。この事件が、いついかなる理由で発生し、戦争がどんな展開を遂げたのか、両国の争いはどちらが勝ち、どちらが負けたのか、まったくはっきりしない」……ノモンハン事件の情報統制に焦点を置いたレポート。敵側に内部情報を漏らさないよう統制する意義は認めるが、それが日本の場合、いつも上層部の失敗の隠蔽や責任逃れに利用される。もういい加減克服しても良さそうなのに、この悪弊は現代にもきちんと温存されている。公務員の「記録が見つからない」「記憶にない」はもはや伝統芸能だね。2017/06/23

kawasaki

2
戦闘そのものの詳細な経緯よりは「ノモンハンで日本が勝利」という虚構がいかに作られたかに叙述の力点がある。個人の手紙・電報を検閲し情報をコントロールする状況が生々しい。絞り出された声が封殺され、直視されねばならないことが美談によって覆い隠され、学ばなければならなかった教訓が学ばれない状況。現場に文字通り詰め腹を切らせる組織、「デマ」を信じるなと「英霊」を盾に非難する本が「日本軍勝利」のデマを流布する状況は、遠い昔の話と思えない。藤田嗣治の話からは、「時代の曲がり角」で仕事をして生きることについて考える。2016/03/30

nagata

2
司馬遼太郎氏がかつて属した戦車部隊の話とのからみで手に取った書。学校の歴史ではほとんど取り扱われることのない、しかし、確かに存在した戦いの顛末とそれをとりまく当時の状況は、決して遠い昔話ですませるわけにはいかない。2013/12/19

sendagi1130022

2
文庫ゆえ消化不良の感は否めないが、サクサク読めるのが第一の利点か。ノモンハン事件の推移そのものよりも、サブタイトルの『機密文書「検閲月報」が明かす虚実』のとおり、ノモンハン事件がいかにして公に伝えられ、あるいは伝えられなかったのかに焦点を当て、簡便にまとめている。それ以外の観点からは、「はじめに」と「あとがき」にあるように、その他多くの著書や先行研究がある中で、かつ文庫という紙幅の制限の中で、このように焦点を搾らざるを得なかったのであろう。本事件に関心のある人への導入及び、関連書籍目録としても勧める。2011/02/26

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/448792
  • ご注意事項