内容説明
領域・テーマ別に分け入り、丹念に指南する１２通りの読み方と７００巻すべての内容が簡潔に分かる解説総目録により、叢書の全体をこの一冊で見晴らしよく案内する。
目次
物語の楽しみ―物語る声を求めて
詩苑逍遙―訳詩を読む楽しみ
東洋の百科全書―中国の“無用の長物”
江戸を読む―都市のざわめきを聞く
隣国と親しむ―「大陸国家」朝鮮を知るために
中国の伝統文化を知る―先達の書あれこれ
インド的世界―「インドはわからない？」
中東イスラーム世界―企む女たちの物語
アジアの近代―自己と時代の物語
ユーラシア史へのまなざし―大航海時代以前の世界史〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アカツキ
12
東洋文庫にまつわるエッセイと東洋文庫の解説付き目録。読みたい本を恐ろしいほど積み上げることになった一因、武田雅哉「中国の〈無用の長物〉」が特に好き。私も面白さを重視するタイプなのでめっちゃ共感した。「本草綱目」の荒唐無稽な部分を落とした小野蘭山「本草綱目啓蒙」を「つまんねえの！」とバッサリ切り捨てたところで大笑い。それ、ここで言っちゃうんだ！いつか全一万巻「古今図書集成」が翻訳されたらいいな。2022/12/14
yoneyama
12
東洋文庫ラヴの研究者たちが、「これを読め！」と推してくる。東洋文庫との出会いについても語られる。私、高校の世界史の教師が良くて、それは本人が熱く静かにハマっている姿に生徒たちが共感し憧れていたせいだと思う。学びへのそして師への憧れというか。わかり易くでもなく、高得点を目指す教育でもなかった。高校の図書館を訪ねると彼の死後、東洋文庫全巻が寄付されてあったのを知った。先生はこれを全部読んでいたのだ。道理で話が面白かったはずだ。イヴン・バットゥータ全六巻、モンゴル帝国史全六巻、読みたくなる。2022/05/12
壱萬弐仟縁
8
大学図書館にあるような気がした。今度探してみる。欧米かぶれを自覚したら読むといいのかもしれない。人生の目的は、インドではダルマ、アルタ、カーマ、モークシャ（１０２ページ）。法、利、愛欲、解脱と換言。梁啓超の本で「中国のルネッサンス」という作品があるとは知らなかった（１４０ページ）。巻末には７００冊の目録で読みたいのは１０２『昨日は今日の物語』、１３０『天工開物』、１５０『王書』、１７１『日本その日その日』（日本動物学の祖＝モース）、４２２『東洋の理想』、６１１『新編落語の落』、６３１『祭』など。固い表紙？2013/02/27
Hiroki Nishizumi
2
巻頭言に「購読することはおろか、なまなかな読者は手にとってみることが、あるいは一生のうち一度でも目にすることすらむずかしい‥‥」とあるが言い当て妙。知の大陸といった軽い表現ではあらわせない、人類の叡智が詰まっている。読むべきものがあるな。2017/04/07
lagopus55
2
専門家が東洋文庫を読み方の例示してくれる。江戸時代を旅行した外国人、オランダ商館長ケンペル、植物学者ツュンベリー、シーボルトの日記から読み解く時代のとらえ方や、唐詩や千一夜物語を例に挙げ、訳詩を読む楽しさを紹介したり、目移りがしてしまう。本の三分の二は、東洋文庫の簡単な解説総目録。この部分を読むだけでも、東洋文庫の虜になります。北アフリカから出発してメッカ、インド、北京、最終的にはスーダンまで行ってしまうイブン・バットゥータの「大旅行記」（全８巻）読んでみたいと思いませんか。 2007/09/01
