内容説明
近世の典籍に深くひろく通じ、秀れた史伝や人物論を遺した在野の大学者である著者は、一方で笑話や小話をこよなく愛する人であった。日本の笑話の成立と変遷に関心をもち、江戸初めから中期にいたる笑話集を渉猟し、現代に伝えるべき話を一冊にまとめたのが本書である。
目次
醒睡笑
きのうはけふの物語
百物語
私可多咄
つれづれ御伽草
軽口曲手鞠
囃物語
鹿野式左衛門口伝ばなし
けらけらわらひ
鹿の巻筆
はなし大全
鹿の子ばなし
枝珊瑚珠〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
itokake
17
江戸時代(1615年-1748年)の笑い話(軽口)。軽口本37種からつぶよりの311話。軽口には、昔話として口承されたものもあり、昔話好きなので原典に触れたてみたかった。読むほどにじわりじわりと味を感じだす。現代のお笑いとは違う、江戸の笑いだった。各話に著者の感想と解説がつくが、博識な著者にさえ意味不明なものがあって驚く。また、出版から77年経過しているので、著者には解説不要な事柄が、私には必要なこともあった。例えば、「狐を一廻り食う」という時の、「一廻り」は1匹まるまる食べる?時と共に消える言葉を実感。2023/05/09