内容説明
本書が対象とするのは、日本の沿岸という北西太平洋の端に位置する海洋的な環境の中で、鯨という資源を利用するという生業(あるいは産業)活動を中心に形成された文化である。そこには、鯨という生物的資源を発見し、それを捕獲し、処理加工し、その産物を分配して、消費するという諸活動のすべてが含まれ、それらを機能的に関連づけ活動全体を効果的かつ安定的に維持していくための諸知識、諸技術、価値観、信仰、集団組織と諸制度、諸慣習が、有機的に統合されている。
目次
序章 鯨の町で
1章 捕鯨文化
2章 網捕り式捕鯨―日本の捕鯨文化の原型
3章 西洋の捕鯨船
4章 和魂洋才―捕鯨近代化の努力
5章 近代日本の捕鯨文化
6章 もうひとつの伝統―小型沿岸捕鯨
7章 モラトリアムと捕鯨文化の現状
終章 結語―捕鯨は必要か