ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 幻の女〔新訳版〕

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ハヤカワ・ミステリ文庫
幻の女〔新訳版〕

  • ISBN:9784150705541

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内容説明

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか? 最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

W-G

517
新訳が出てずっと気になっていた。二度目だが楽しく読めた。序盤は文章の風味はあるものの、少し単調に感じるが、ロンバートが出てきてから展開もスピーディーになり、俄然面白くなってくる。というより、序盤は不可思議状況を演出しようとするあまり、ツッコミどころ満載。なんでソコ誰も気にしないの?と思うところだらけ。それらが予定調和的に紐解かれていく様に不思議なカタルシスがある。終盤の展開は、今読んでも質の高いどんでん返しではあると思う。"あり得ない""ご都合主義"のスレスレを攻めて上手くまとめきった名作。2018/06/06

Kircheis

420
★★★★★ アイリッシュの代表作。 無実のスコットは妻殺害の容疑で死刑判決を受け、その冤罪を晴らすためには名も知らぬ行きずりの女を探すしかない。死刑執行までの残り日数が各章のタイトルになっており緊迫感を煽る。 スコットの親友ロンバートと恋人のキャロルが、それぞれ別の方向から幻の女の手がかりを追うが、両者とも毎回あと少しのところで掴み損ねるのがもどかしい。 令和のミステリ読者からすれば、真犯人についてはそれほどの驚きはないかもしれないが、幻の女(と思ってた人物)の正体の方はびっくりするのでは?2022/06/26

紅はこべ

251
稲葉訳はもう何度も読んでいるので、犯人もトリックも当然覚えていて、初読の時のハラハラ感はなかったが、犯人の心情を想像しながらという読み方ができた。改めて気づいたのが、キャロルの怖さ。バーテンダーとドラマー、二人を死に追い込んでおきながら、二人への謝罪の気持ちが微塵もない。特にバーテンダーに対してがひどかったな。スコットは妻、幻の女、そしてこのキャロルと、女運が悪い宿命を負っているのかも。今後も幸せになれるかどうか疑問。再捜査で、犯人の目星がついていながら、四人も死者を出したのはバージェスの失態。2019/05/04

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

196
「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」美しく有名(らしい)な一文で始まるサスペンスの古典。 妻と喧嘩し街をさまよう男は、行きずりの女性とひと時を共に。然して家に帰ってみると妻は殺されていた。アリバイを握るその女性を、彼の目撃者は一様に「見ていない」と主張する。 俄かにホラー的怖さ、幻想的な雰囲気が漂いだし、死刑宣告までの時間が迫る中なかなか紐解けない謎の数々。 お、おおお面白いー!!世界の中心で面白さを叫びたい♡あまりの面白さに速読の能力を身につけたくなりました。名作です。2019/02/10

utinopoti27

182
1942年は、世界のミステリ文学史に長く語り継がれることになる作品が誕生した年である。『幻の女』は、妻殺しの汚名を着せられた主人公を救うべく、彼の親友が、無実のカギを握る女を探すという筋立てだ。死刑へのカウントダウンが進むなか、一進一退の展開に焦りが募る。真犯人は誰か、そして幻の女とは・・。冒頭の名調子があまりにも有名な本作は、洗練されたプロット、巧みな情景描写、緩みのない緊張感で読み手をぐいぐい引き込んでゆく。「サスペンスの詩人」と異名をとるアイリッシュの筆捌きが冴えわたる古典ミステリの名作を堪能した。2020/09/26

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