出版社内容情報
ジェンダー化される身体とは、<女>および<男>という性のちがいが、所与の大前提として認定された文化の中で、それにそって訓育され、立ちあげられ、生きられていく身体のことをさす。本書は、このジェンダー化される身体についての歴史をテーマとしている。何が<女>または<男>という性の特質・本質であるかという理解は、時代や文化によって異なる。ジェンダーに印づけられた身体は、実際に人々のからだにおいて具体的にどのように演じられ、生きられてきたのか――性差、生殖、美と健康などの観点から身体の歴史を
【目次】
序章 性差を持つ身体の構築
はじめに
1 フェミニズムと身体の問題化
2 セックス/ジェンダー二元論のパラドクス
3 ポストモダン・フェミニズムの身体論
4 プロセスとしての身体
おわりに
Ⅰ
第1章 性差の歴史学―女性史の再生のために―
はじめに
1 女性史とフェミニズム
2 女の身体感覚
3 避妊・堕胎考
第2章 産むも地獄、産まぬ地獄の...
1 進化の不条理
2 生殖と権力
3 「解放」とは何か
第3章 身体史の射程―あるいは、何のために身体を語るのか―
はじめに
1 「身体を歴史的に見る」とは
2 「性」を持つ身体
3 「男」という身体へ
Ⅱ
第4章 女の解剖学―近代的身体の成立
はじめに
1 前近代の性差観
2 新しいモデルの形成
3 性器としての女
おわりに―まとめと展望―
第5章 フェミニズムと生物学―ヴィクトリア時代の性差論
1 科学的性差論の背景
2 科学的性差論の系譜
おわりに―女たちの反応―
第6章 男の性と生殖―男性身体の語り方―
はじめに
1 男が語る「男の性」
2 「他人事」としての生殖、あるいは「やりっぱなしの性」
3 男にとっての避妊と中絶
4 環境ホルモン・男性不妊・生殖テクノロジー
おわりに
Ⅲ
第7章 子殺しの論理と倫理―ヨーロッパ社会史をもとに
はじめに
1 キリスト教化以前
2 キリスト教世界の子殺し
3 養育院と里子
結びにかえて―子殺しをどう読むか―
第8章 「堕ちた女たち」―虚構と実像―
1 トリスタンの見たロンドン
2 娼婦の数と定義
3 買売春とダブル・スタンダード
4 ステレオタイプ その1―犠牲者としての娼婦―
5 ステレオタイプ その2―汚染源としての娼婦―
6 ある女工の話
第9章 性の衛生学―ヴィクトリア時代の買売春と性病―
はじめに
1 娼婦の数と生活
2 CD法の成立と性病
3 CD法とダブル・スタンダード
4 マドンナとマグダレン
おわりに
第10章 美と健康という病
1 <女性美>の一世紀
2 <スリムな女>の意味するもの
3 フェミニズムの役割
4 美と健康と男の身体
あとがき
引用・参考文献
索引
内容説明
ジェンダー二元論の規範の中で、“女”や“男”の身体はどのように生き、抵抗してきただろうか。生物学的宿命論もバトラー流の幻想論も拒否して“女”の身体にこだわる。
目次
序章 性差を持つ身体の構築
第1章 性差の歴史学―女性史の再生のために
第2章 産むも地獄、産まぬも地獄の…
第3章 身体史の射程―あるいは、何のために身体を語るのか
第4章 女の解剖学―近代的身体の成立
第5章 フェミニズムと生物学―ヴィクトリア時代の性差論
第6章 男の性と生殖―男性身体の語り方
第7章 子殺しの論理と倫理―ヨーロッパ社会史をもとに
第8章 「堕ちた女たち」―虚構と実像
第9章 性の衛生学―ヴィクトリア朝の買売春と性病
第10章 美と健康という病―ジェンダーと身体管理のオブセッション
著者等紹介
荻野美穂[オギノミホ]
1945年中国青島生まれ。1987年奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程中退。人文科学博士。現在、大阪大学大学院文学研究科助教授/女性史専攻
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