内容説明
魔女狩りという妄想と迫害の結合は現代社会に何を語るのか。本書は英語圏の魔女幻想を中心に、歴史上の事実と文化的なうねりをエピソード豊かに検証する。
目次
序章 ジャンヌ・ダルクは魔女ではない
第1章 魔女誕生
第2章 サバトの夜
第3章 黒魔女と白魔女
第4章 魔女狩りは女狩り?―魔女狩りとジェンダー
第5章 裁かれた男たち
第6章 宗教改革の逆説
終章 わたしたちの影―魔女幻想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
11
ソドミー(反自然的性交)に耽った魔術師として異端裁判にかけられた教皇ボニファティウス8世は当然教養人だが、悪態をついたり目つきが邪悪だったり夢の中で男を誘惑した等の理由で魔女認定され裁かれた多くが、普通の人々。蒙昧で前近代的な集団の狂気と今では思われてる魔女狩りに「誰よりも知恵があるという悪魔が、よりによって無学な女たちと通じるのは実に不思議だ。知恵のある男や有力者と取引すればこの世を支配できるのに」と正論が吐かれるのは、17世紀も半ばのこと。事実関係だけでなく幻想の次元で人々が惑わされていた実態を描く。2016/04/30
めっかち
4
本書の内容を簡単にまとめると「キリスト教と全く異なる民衆信仰としての『魔女』と、知識人たちによる悪魔学から生まれた「魔女』が混合することで『魔女狩り』が激化した。プロテスタンティズムの徹底は「魔女』に入る余地を与えず、1670年代から緩やかに沈静化したが、決して『魔女幻想』が死んだわけではない」と言った所だろうか。古今東西を問わず「魔女」は創造されて来たし、「幻想」なき人間社会もありえないと言うのが本書の結論。私達は結局、幻想に内在する狂気を認識しつつ、その中で生きる外ないのだろう。2022/11/01
富士さん
3
何回か読み直したのですが、イマイチ本書の意義が読み取れず、しかし読み捨てるにしては強く惹かれ、何度目かの再読です。今回読んで、魔女狩りというのは、直接的には世界に対する人間の主体化と裁判手続の客観化によってもたらされ、神の絶対化と杓子定規な制度の運用によって収束したのだと読みました。魔女を焼くということ、魔法というものが存在する事に対する機能的な感覚は両手を挙げて賛同するところであり、そのために具体的な裏事情まで細かく描こうとされているので、いろいろな読みの可能性を持ったとてもいい本だと思います。2015/06/19
misui
3
再読。森島恒雄『魔女狩り』など先行の研究を念頭に、丁寧に一次資料を読み込んで魔女狩りの実態に迫る。データの提示や背景の分析を行なっているので、過度の脚色は抜きに、より現実に即した魔女狩りのイメージが掴めるかと思う。魔女幻想を都合よく利用して「自分の敵は神の敵」といった論理を振りかざすのは教会も民衆も同じだが、中にはそれに理性的に対処した人もあり、魔女狩りについて抱きがちなパニックとか狂気の印象はやや薄れた。2012/06/07
まあ子
2
魔女狩りは女性だけが被害にあったのではなく、男性も拷問にかけられることはあった。魔女だと告発するのは、てっとりばやく嫌いな人を貶めるのに役立った。無制限の拷問と誘導尋問によって、狙った人間を確実にしとめていた。拷問→誘導尋問→拷問…という流れを繰り返すことによって、相手に都合のいい自白が取れる。これより緩和されているけど、いわゆる警察に自白を強要されたっていう問題も同じことだ。2015/01/05
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