内容説明
春が来れば花が咲き虫が集う―当たり前?でもどうやって彼らは春を知るのでしょう?鳥も植物も虫も、生き物たちは皆それぞれの方法で三寒四温を積算し、季節を計っています。そして植物は毎年ほぼ同じ高さに花をつけ、虫は時期を合わせて目を覚まし、それを見つけます。自然界の不思議には驚くばかりです。日本を代表する動物行動学者による、発見に充ちたエッセイ集。
目次
春を探しに
赤の女王
動物行動学としてのファッション
ボディーガードを呼ぶ植物
カタクリとギフチョウ
ホタル
夏のコオロギ
植物と虫の闘い
八月のモンゴルにて
シャワー〔ほか〕
著者等紹介
日高敏隆[ヒダカトシタカ]
1930(昭和5)年、東京生れ。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学、京都大学教授、滋賀県立大学学長を経て、総合地球環境学研究所所長。2001(平成13)年『春の数えかた』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
158
私も本格的な春を待つ二月から三月にかけてのこの季節の不思議に驚き、ワクワクする人間の一人です。今年も日高先生のエッセイを読み、共感し、外に出たくなる、そんな春を満喫しています。「春の数えかた」とは素敵なネーミングです。その一言に動物や虫たちがどうして春の到来を知るのかという不思議と、来たるべき春を心待ちにする喜びに満ちたわくわく感を感じることができるからです。今年の春も良い春になりそうです。椎名誠氏の巻末解説もすばらしい。2016/03/17
新地学@児童書病発動中
135
動物行動学者によるエッセイ集。普段何気なく目を向けている虫や鳥の生態を改めて考えてみるきっかけになる。自分の知らなかったことが多く書かれており、読んでいて新しい世界へ扉が開かれるような気持がした。例えば夏の蝶の生態。蝶は筋肉を震わせ熱を発生させて、空に飛び立つらしい。著者の感性のフィルターを通してみると、自然界のことが詩情を帯びて見える気がした。自然のロジックと人間のロジックの均衡によって生まれる場所が人里と言う概念は、これからの地球の環境を考える時に大きな意味を持つと思う。2016/08/12
KAZOO
120
動物行動学がご専門の日高先生の著書を少し読んでみようと思いました。このエッセイはご自分の小さい時からの話などを交えて生物ばかりではなく様々な文化論をも発信しておられます。読んでいて自分の小さい時を思い出していました。さらにシャワーやスリッパについてのエッセイも楽しく読ませてもらいました。2018/06/14
小梅
107
動物学者の日高敏隆先生のエッセイ。花が何故同じ高さのところに花をつけるか?虫の効率的な蜜採集のために植物が手伝いをしてる…目からウロコであった。優しい文章に人柄が現れているいるように感じました。いくつか紹介されていた生物に関する書籍を読んでみたいと思い取り寄せる事にした。2014/04/29
ろくせい@やまもとかねよし
100
昆虫や動物の行動などに関わる随筆集。「自然は調和でなく、競争の結果」との提言が印象に残る。生物は互いに助け合っているではなく、せめぎ合っており、結果として調和が生まれるとのこと。2018/04/18